COP28 化石燃料から「脱却を進める」で合意

UAE=アラブ首長国連邦で開かれている気候変動対策の国連の会議、COP28は13日、焦点となっていた化石燃料について、「段階的な廃止」には言及せず、「脱却を進める」ことで合意しました。

先月30日から開かれているCOP28では、世界全体の気候変動対策の進捗(しんちょく)を評価する「グローバル・ストックテイク」が初めて行われ、対策の強化に向けた合意文書が13日、全体会合で採択されました。

この中で、最大の焦点となっていた化石燃料について、「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするため、化石燃料からの脱却を進め、この重要な10年間で行動を加速させる」としています。

採択を受けて、COP28のジャベル議長は「現実に向き合い、世界を正しい方向に導いた。気候変動対策を加速させる間違いなく歴史的な成果だ」と強調しました。

化石燃料をめぐっては、欧米の先進国や島しょ国などが「段階的な廃止」を強く求めてきたのに対し、化石燃料に経済を依存する産油国などは受け入れられないという立場を示し、交渉が難航してきました。

議長国のUAEは12日までの会期を延長し、「段階的な廃止」という表現を避け、「脱却を進める」とすることで合意にこぎ着けた形です。

サモア「合意は十分ではない」

COP28の全体会合で13日、化石燃料について「脱却を進める」ことなどで合意すると、参加者の多くが立ち上がって拍手を送りました。

一方で、その後、発言した南太平洋の島国サモアの代表は「今回の合意は十分ではない。いま必要なのは飛躍的に私たちの行動を変えることだ。いまの合意では、2025年までに各国が温室効果ガスの排出を削減に転じさせるという約束が抜けている」と述べ、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えるためにもさらなる対策強化が必要だと訴えました。

専門家「合意は大変歴史的」

気候変動問題の国際交渉に詳しい東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授は今回の合意について、「これまでの長い気候変動交渉の歴史の中で初めて、産油国であるUAEの議長のもとで、化石燃料からの脱却が今後の気候変動対策の方向性として合意されたのは大変歴史的だ。『廃止』ということばは使ってはいないが、化石燃料からの脱却を加速し、最終的にはゼロに近づけていく方向性を示す文言だと評価出来る」と述べました。

そして、「気候変動の影響を日本でも世界でも感じ始め、さらに将来、大きな影響やリスクが生じ得ることを科学が示している。その意味では気候変動対策をさらに強化して、加速をしていく、非常に重要な合意だった」と評価しています。