ロシア軍 キーウにミサイル攻撃 迎撃も破片などで53人けが

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は13日、首都キーウをミサイルで攻撃し、キーウでは迎撃したミサイルの破片が落下するなどして50人以上がけがをしました。本格的な冬が到来する中、各地でミサイルや無人機による攻撃が強まっています。

ウクライナ空軍は13日未明、首都キーウに向けてロシア軍がミサイル10発を発射し、いずれもウクライナ軍が迎撃したと発表しました。

しかし、キーウのクリチコ市長によりますと、撃ち落としたミサイルの破片が住宅地に落ちるなどして、これまでに子どもを含む53人がけがをしたということです。

NHKの取材班が滞在するホテルでも、午前3時ごろに、迎撃ミサイルの発射音とみられるボン、ボンという短い音が複数回、聞こえました。

キーウへのミサイル攻撃について、アメリカを訪問しているウクライナのゼレンスキー大統領はSNSで、「きのうアメリカのバイデン大統領との間で、防空システムを増強することで合意したところであり、テロ国家はこの決定がいかに重要かを示した」と投稿し、アメリカなどの支援も受けながら、ロシア軍の攻撃に対抗する姿勢を強調しました。

また、ロシア軍は13日、南部オデーサ州でもイラン製の無人機9機で攻撃を行い、2人がけがをしたほか、火災も発生するなど、本格的な冬が到来する中、各地でミサイルや無人機による攻撃が強まっています。

キーウ ミサイルの破片が住宅街に落ちる けが人も

ウクライナの首都キーウでは迎撃されたロシアのミサイルの破片が住宅街に落ちるなどして、けが人が出ています。

このうち、キーウの中心部から車で20分ほどの団地では、ミサイルの破片が落下した影響で、団地の建物や近くにある幼稚園などの窓ガラスが激しく壊れたり、近くにとまっていた車が燃えたりする被害が出て、住民がけがをしました。

現場では警察などが状況を調べるなか、住民たちが建物の中から衣服などを運び出していました。

被害にあった建物に住む74歳の無職の男性は、一緒に暮らしていた40代の息子が割れた窓ガラスで顔や足などにけがをしたということで、「大きな爆発音がして目覚めるとすべての窓ガラスが割れていた。すべてが吹き飛ばされてしまい、とてもつらいです」と話していました。

また、別の建物に住む20歳の女子学生は「部屋の窓ガラスがすべて割れてしまい、とても寒くて安全に暮らせる場所はありません。弟もいるのでこれからが不安です」と話していました。

米メディア “ロシア軍兵力 9割近く失われたか”

ニューヨーク・タイムズなど複数のアメリカメディアは12日、機密解除されたアメリカの情報機関の報告書の内容として、去年2月にウクライナへの侵攻を開始した当初、ロシア軍の兵力は36万人規模だったのが、すでに9割近い31万5000人が失われたという分析を伝えました。

また、戦車も3500両だったのが2200両を失い、50年以上前に生産され、保管されていたT62型戦車などを戦地に送ることを余儀なくされたほか、先月下旬の時点で、地上部隊の軍装備品の4分の1以上を失ったとしています。

報告書では、「ウクライナの戦争は、地上部隊の近代化に向けた15年にわたるロシアの努力を大幅に後退させた」と指摘しているということです。

ロシア軍は最近も、激しい攻撃をしかけている東部ドネツク州のアウディーイウカの戦闘などで甚大な損失を出しているとみられていますが、プーチン政権はロシアの各地から契約軍人を募集して兵員を補充するなど、消耗戦を続けています。