リコール相次ぐ デンソー製燃料ポンプ搭載車が死亡事故

自動車部品メーカーのデンソーが製造した燃料ポンプに不具合があり、リコールが相次いでいる問題で、この燃料ポンプを載せた車がことし7月、鳥取市内でエンジンが止まり、路上に停車していたところ、後続車に追突されて、乗っていた80代の男性が死亡していたことがわかりました。警察などによりますと、エンジンが止まったのは燃料ポンプの不具合が原因だったということです。

国土交通省によりますと、デンソーが製造した燃料ポンプをめぐっては、内部の部品が変形してポンプが動かなくなり、最悪の場合、走行中にエンジンが止まるおそれがあるとして、国内でのリコールは2020年以降、自動車メーカー8社のあわせて382万7000台あまりにのぼっています。

交換用の燃料ポンプ6900個あまりもリコールの対象になっています。

鳥取県警察本部などによりますと、この燃料ポンプを載せた軽乗用車がことし7月、鳥取市の鳥取自動車道のトンネルを走行していた際にエンジンが止まり、路上に停車していたところ、後続車に追突されて、後ろの席に座っていた82歳の男性が死亡したということです。

この事故で、一緒に乗っていた男性の81歳の妻と54歳の息子もけがをしました。

軽乗用車はホンダが製造したもので、警察とホンダによりますと、エンジンが止まったのは燃料ポンプの不具合が原因だったということです。

この燃料ポンプは交換用で、ホンダは事故が起きたあとのことし10月、軽乗用車に載っていた燃料ポンプのリコールを国土交通省に届け出ています。

一方、事故の直接の原因は後続車のドライバーの前方不注意だとして、警察は今月、このドライバーを過失運転致死傷の疑いで書類送検しています。

事故についてホンダはリコールが直接の原因ではないとしてこれまで公表していませんでした。

ホンダは「事故の被害者の方のご冥福をお祈りします。一刻も早く不具合の可能性がある燃料ポンプを回収し、正しいポンプに換えさせていただきたい」とコメントしています。

デンソー「心よりおわび」

デンソーは13日夕方コメントを発表し、この中で、「当社の燃料ポンプに関するリコールでご心配、ご迷惑をおかけしていることを心よりおわび申し上げます。事故で亡くなられた被害者の方、およびご遺族に深い哀悼の意を表します」などとしています。

そのうえで、「リコール対象の燃料ポンプは構成する部品の樹脂密度の低いものが燃料によって変形し、作動不良につながることが判明しています。実際の作動不良の発生には条件が複雑に絡んでおり、カーメーカーと連携して対応を進めています」などとしています。

遺族「とても残念 腹立たしい」

今回の事故で死亡した82歳の男性の息子で、本人もけがをした男性が取材に応じ、「この軽乗用車を購入した理由は安全性が一番だという評判だったからです。安全だと思って買った車が原因で大きな事故が起きたことがとても残念です。燃料ポンプが不良品だったとなるとメーカー側に責任があると思います。メーカー側には対応してもらえず、謝罪の言葉もなく、腹立たしいです」と話しています。