源氏物語の装束を色鮮やかに再現した展示会 東京

紫式部が書いた源氏物語に登場する女性はどのような衣装を身に着けていたのか。その研究成果を紹介する展示会が東京で開かれ、色鮮やかに再現された平安時代の装束が公開されています。

平安時代の装束の再現は実践女子大学による5年をかけた研究で行われ、紫式部の源氏物語に登場する明石の君(あかしのきみ)をモデルにしています。

装束には細い絹糸が使われ、裏地の色や模様が透けて見える軽やかな風合いが特徴で、深い紅色や藤色などを重ねて着ることで鮮やかさが際立つようになっています。

また、肌着のひとえの上に着る重袿(かさねうちき)は肌に近いほうから外側に向け、裏地のもえぎ色が薄い色合いになっています。

このほか、「表着」(うわぎ)は当時、身分の高い人だけがまとえた藤色を使い、平安時代当時の染め方と同様の草木染めによって、現代の化学染料と比べると柔らかな色合いになっています。

絵巻や文献などを元にした研究者の時代考証を経た製作には一流の職人たちも参加し、平安時代の女性の平均的な身長、およそ1メートル50センチに近い女性が試着にあたるなど、忠実な再現を目指したということです。

展覧会を監修した実践女子大学の客員教授で衣紋道高倉流26世宗家(えもんどう・たかくらりゅう・にじゅうろくせい・そうけ)の高倉永佳さんは、「平安時代の装束は研究されていますが一点も現存していませんのでそれを可視化したいと考えました。現代の装束とは異なり、1000年前の常識や美的感覚の相違などが表れていると思います」と話していました。

この展覧会は、今月28日まで東京 千代田区の丸紅ギャラリーで開かれています。