「大谷翔平と10年契約」大リーグ ドジャースが正式発表

大リーグのドジャースは11日、大谷翔平選手と10年契約を結んだと正式に発表しました。大谷選手は球団を通じてコメントを発表し「いくつものワールドシリーズの優勝パレードをこの街にもたらしたい」とファンに向けて決意を述べました。

ドジャースは11日、大谷選手と10年契約を結んだことを発表し、この中で大谷選手のコメントを紹介しました。

大谷選手は「ドジャースのファンの皆さま、私を歓迎して頂きありがとうございます。あなた方ファンとドジャース、そして私は100%同じ目標を分かち合っていると言えます。それはいくつものワールドシリーズの優勝パレードをロサンゼルスの街にもたらすことです」とつづり、悲願のワールドシリーズ優勝に向けた強い決意を示しました。

背番号はエンジェルス時代と同じ「17」で、球団によりますと、日本生まれの選手がドジャースに入団するのは沖縄生まれで母親が日本人のロバーツ監督を含めると大谷選手で11人目になるということです。

一方、今シーズンまで大谷選手が6シーズンを過ごしたエンジェルスは球団のSNSを更新し、大谷選手のいくつもの写真を添えて「この6シーズン、本当にありがとう!」と感謝のメッセージを贈りました。

グッズ店では早くも大谷の背番号「17」のユニフォームを販売

大谷翔平選手と契約を結んだ大リーグ、ドジャースの本拠地がある、アメリカ・ロサンゼルスでは、早くも大谷選手の名前が入ったユニフォームが売られていて、訪れたファンが次々と買い求めていました。

大リーグのドジャースは11日、大谷翔平選手と10年契約を結んだと正式に発表しました。

こうした中、ドジャースの本拠地、ロサンゼルスにある公式グッズを扱う店では、早くも背番号「17」が入った大谷選手のユニフォームを店内で作り始めていて、できあがったシャツが店先に並んでいました。

店側によりますと、この店を運営する会社から球団からの正式な発表がある数時間前に連絡が入り、急きょ、店内で作り始めたということです。

NHKの取材班が店を取材したのも球団からの正式発表前でしたが、訪れたファンは、早速、できたてのユニフォームを手に取って撮影したり買い求めたりしていました。

店によりますと、大谷選手のユニフォームは販売を始めてからおよそ2時間で20枚以上は売れたということです。

ユニフォームを購入した地元の男性は「背中に大谷選手の名前があるユニフォームを着ただけで、才能のある選手とつながりを持てた気がしてとても誇らしいです」と話していました。

店員の1人は「大谷選手のグッズは世界一、よく売れます。彼が活躍を続ければユニフォームがどんどん売れてもっと忙しくなるね」と話していました。

エンジェルスがコメントを発表

ドジャースが大谷翔平選手との契約を正式に発表したことを受けて古巣のエンジェルスがコメントを発表しました。

「大谷翔平はたぐいまれな才能を持つ野球選手で、この6年間、彼がエンジェルスの一員として、球史を塗り替える活躍ぶりを見る事ができ、光栄に思います。彼は、自身の実力をいかし野球のゲームで新しい可能性を生み出しました。エンジェルスのファンたちは彼のプレーを間近で見ることができ、とても幸せでした。翔平の球団、そして野球に対しての数多くの貢献に感謝いたします。彼のキャリアの新たな門出に心よりご健闘を祈っております」

異例の契約の仕組みは

大谷選手が今後10年間、実際に受け取る年俸は200万ドルになる一方で、アメリカのメディアはドジャースの年俸総額の中で大谷選手の年俸は4600万ドルとして計上されるとしています。

その仕組みを説明します。

大リーグ機構と選手会が結んだ労使協定によりますと、チームの年俸総額を計算する際、それぞれの選手の年俸は契約の総額を年数で割った1年当たりの平均年俸で計算されます。

大谷選手の場合、後払いになる6億8000万ドル分の支払いは2034年から10年間、無利子で発生しますが、アメリカ経済のインフレ率を計算に入れると現在の6億8000万ドルは2034年以降では4億4000万ドル分の価値になります。

そのため、これを10年で割った年平均4400万ドルに、実際に支払われる年俸200万ドルを足した合計4600万ドルが、大谷選手の今後10年の平均年俸としてドジャースの年俸総額の中に組み込まれるということです。

各球団は大リーグ契約の選手40人の年俸総額が2億3700万ドル(およそ343億円)の基準額を超えると「ぜいたく税」と呼ばれる課徴金を大リーグ機構に支払います。

資金力が豊富なドジャースはたびたび基準額を超えてぜいたく税を支払っていますが、ぜいたく税は基準額を大きく超えるほど税率が上がるため、なるべく低く抑えたいのが実情です。

スター選手3人分以上にもなる大谷選手の年俸7000万ドルがそのまま計上されれば年俸総額を大きく圧迫しますが、今回、後払いを選択することで書類上は4600万ドルに軽減されるため、その結果、ドジャースは毎年2400万ドル分(およそ34億8000万円)をほかの選手を獲得するための補強費にまわすことができるという計算です。

さらに、10年後には大谷選手に対して毎年6800万ドルの支払いが始まるものの、この10年間は実際にドジャースが大谷選手に支払うのは毎年200万ドルのため、補強のためにさらに資金を投入することも可能だという指摘もあります。

アメリカのメディアは大谷選手がこの提案をドジャース以外にも交渉していたすべての球団に持ちかけていたと伝えていて、今回の異例の契約の詳細が少しずつ明らかになってきています。