オンライン診療 不適切な医療機関の実態調査へ 厚労省

スマートフォンなどを活用して離れた場所の患者を診察するオンライン診療について、厚生労働省は、国のガイドラインで認めていない不適切な方法で診療を行っている医療機関があるという情報が寄せられていることから、実態調査を行うことになりました。

オンライン診療は全国で導入が広がっていて、厚生労働省は対面での診察と違って細かい検査ができないことから、診療の手順や注意点を示した医療機関向けのガイドラインを策定しています。

ガイドラインは保険診療だけでなく自由診療も対象としていて
▽顔写真付きの本人証明書を使って医師であることを示すことや
▽ビデオ通話など視覚や聴覚の情報を含む情報通信手段を使うことなどを定めています。

しかし、メールやチャットだけで診察や薬の処方を行うなど、ガイドラインで認めていない方法で診療を行っている医療機関があるという情報が寄せられていることから、厚生労働省は実態調査を行うことになりました。

具体的にはオンライン診療を行っている医療機関が、ガイドラインを守っているか調べることにしていて、厚生労働省は今後、調査の対象やスケジュールなどについて検討することにしています。

また、患者がオンライン診療を適切に行っている医療機関を選択できるよう、情報発信も強化していくとしています。

専門家「オンライン診療の国民に向けた啓発も」

ガイドラインの策定にかかわった日本遠隔医療学会の理事、黒木春郎医師はオンライン診療が広がった背景について「新型コロナでウェブでのコミュニケーションが普通になり、社会で受け入れられてきたほか、医療機関側も参入しやすくなったことが要因と考えられる」と指摘しています。

そのうえで、ガイドラインで認めていない不適切な方法で診療を行っている医療機関が報告されていることについては「オンライン診療そのものを抑制するのではなくて、医療の中身をいかに適切に評価するのかが課題になる。医師向けのトレーニングや教育のほか、オンライン診療とはどういうもので、どういった使い方をするのが有益なのか、国民に向けた啓発も必要だ」と訴えています。