イスラエル“ハマスのガザ地区トップの事務所一帯を制圧”

ガザ地区の各地で激しい攻撃を続けるイスラエル軍は、ハマスのガザ地区のトップの事務所が置かれていた一帯を制圧したと明らかにしました。イスラエル軍がハマスの壊滅に向けて攻勢を強めるなか、民間人の犠牲がさらに増えることが懸念されます。

イスラエル軍はハマスのガザ地区のトップ、シンワル指導者が潜伏している可能性があると見ている南部のハンユニスや、北部ジャバリアなどにあるハマスの拠点に対して攻撃を加えています。

イスラエル軍のハガリ報道官は10日の記者会見で、シンワル指導者の事務所などがあり、ハマスの中心拠点だったガザ市中心部の「パレスチナ広場」と呼ばれる一帯を制圧し、地下トンネルも見つけたと述べ、成果を強調しました。

これに対して、ハマス側は徹底抗戦の姿勢で10日には「過去48時間で44の軍用車両を破壊した」などとSNSに投稿し、イスラエル側に打撃を加えたと主張しました。

イスラエル軍は11日、新たに4人の兵士が死亡したと発表し、イスラエルのメディアは地上侵攻を始めてからの戦死者が100人を上回ったと伝えています。

こうした中、イスラエル側は情報戦も活発化させていてイスラエルの情報機関の一つ「シンベト」は10日、2007年にガザ地区当局の高官を務めた男性の取り調べの様子を写したとする動画をSNSに投稿しました。

このなかで男性は「シンワル氏率いるハマスの指導部は正気を失った人物の集まりだ」などとシンワル指導者らを批判する内容の発言をしています。

イスラエル側は10日にネタニヤフ首相がハマスの戦闘員に対し「シンワルのために死ぬな。いますぐ投降せよ」と呼びかける動画を発信していて、今回の動画もハマス側に揺さぶりをかけるねらいがあるとみられます。

ガザ地区の保健当局は、10日までの死者がおよそ1万8000人に上ったと明らかにしていて、民間人の犠牲のさらなる増加と人道状況の悪化が懸念されています。