ユニセフ=国連児童基金が11月にまとめた報告書によりますと、ガザ地区での水の供給源は主に3つに分かれています。
内訳をみますと、
▽各地に300以上ある井戸が水の供給量のおよそ80%をまかなっているほか、
▽イスラエルからの供給が13%、
▽海水から飲み水をつくる淡水化施設からの供給がおよそ7%となっています。
しかし、一連の戦闘が始まってからは、燃料不足やイスラエル軍による攻撃でインフラが損傷して、水の供給量は衝突前の5%にまで減ったとしています。
ガザ地区で活動するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のフィリップ・ラザリーニ事務局長は4日、「ガザ最大の淡水化施設がイスラエルの作戦によって利用できなくなり、水へのアクセスが限られている」と指摘しました。
また、OCHA=国連人道問題調整事務所は、8日時点の情報として、ガザ地区の多くの人が利用してきた井戸は、燃料不足のため、ほとんどが稼働を停止しているとしています。
ユニセフによりますと、飲み水や調理などのために日々利用できる水の量は、1人当たり3リットルにかぎられ、やむをえず安全ではない水を口にするなどして、幼い子どもの間で急性の呼吸器障害や下痢の症例が増加しているという報告もあるということです。
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ガザ地区 安全な水が極端に不足 ユニセフ“供給 衝突前の5%”
ガザ地区では、安全な水の供給が極端に不足していて、感染症のリスクも高まっています。
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エジプト側からの水や燃料、そして支援物資の搬入は制限が続いていて、OCHAによりますと、10日に人道支援物資を積んでガザ地区に入ったトラックの数は100台にとどまり、一連の戦闘が始まる前の一日平均500台に比べて激減しています。
このため、清潔な水をつくる施設や下水処理施設などへの燃料の供給量も、必要量の35%にとどまっているということです。
国連は、エジプトとの境界にあるラファ検問所を通じた支援物資の搬入だけでなく、イスラエル側との境界にあるケレム・シャローム検問所を早期に開放するよう訴えていて、人道状況の改善に向けて、支援物資の搬入を増やすことができるかが焦点になっています。