賃上げも赤字の中小企業 最大5年間の減税繰り越し措置で調整

基準を超える賃上げを行った企業の法人税を減税する「賃上げ税制」について、政府・与党は、中小企業が賃上げを実施したものの赤字となった場合、最大5年間は、減税を繰り越せる措置を設ける方向で調整に入りました。赤字が多い中小企業にも幅広く賃上げを促すねらいです。

賃上げ税制は、基準を超える賃上げを行った企業に対し、法人税の納税額から一定額を控除=差し引く制度ですが、赤字が多い中小企業に賃上げをどう促すかが課題となっています。

政府・与党は、賃上げ税制について3年間、延長したうえで、基準を超える賃上げを実施したものの赤字となった中小企業を対象に、最大5年間は控除を繰り越せる措置を設ける方向で調整に入りました。

期限内に黒字を達成すれば減税を受けられることから、幅広い企業に賃上げを促すと同時に、企業の成長につなげるねらいもあります。

一方、大企業は従来、4%以上の賃上げを行った場合に、従業員の給与やボーナスの増額分の25%を納税額から控除できましたが、この基準について、従業員2000人を超える企業に対しては、7%以上の賃上げを行った場合に改める方向で、収益が好調な大企業に、より高い賃上げを促すことにしています。

さらに、教育訓練費を上積みしたり、女性活躍や子育て支援の環境整備を進めたりする場合、控除率を上乗せすることで、大企業では控除率を最大35%とする方向です。

政府・与党は、近くまとめる税制改正大綱に制度の詳細を盛り込む方針です。