世界遺産30年 白神山地・姫路城・屋久島で記念セレモニー

秋田県と青森県にまたがる白神山地、兵庫県の姫路城、そして鹿児島県の屋久島がユネスコの世界遺産に登録されてから、11日で30年。地元では、記念のセレモニーが開かれました。

白神山地 “保全はできたが課題も” 町長

白神山地は秋田県と青森県にまたがる広大な山岳地帯の総称で、人の影響をほとんど受けていないブナ林が世界最大級の規模で広がることなどから、30年前の平成5年12月11日、鹿児島県の屋久島とともに国内で初めて世界自然遺産に登録されました。

藤里町の白神山地世界遺産センターでは、11日、記念のセレモニーが行われ、くす玉を割って祝いました。

くす玉を割る藤里町の佐々木文明町長

白神山地の秋田県側からの入山は整備された登山道がないなどさまざまな制約があり、白神山地を訪れる人は年々、減少していて、昨年度の入山者数は1万6200人あまりと、ピーク時のおよそ20%まで落ち込んでいます。

また、ガイドの高齢化も進んでいて、秋田県では5年前に認定制度を設けて人材の育成を進めています。

秋田県藤里町 佐々木文明町長
「あっという間の30年だった。保全はできたが、地域の振興は、まだまだ課題が大きいので、国に働きかけて、周辺エリアの整備を進め、ガイドを養成していきたい」

姫路城 入場料無料・写真撮影のサービスも

姫路城は、1993年12月11日に奈良県の「法隆寺地域の仏教建造物」とともに、日本で初めて世界文化遺産に登録されました。

これを記念して、11日は姫路城や隣接する庭園の「好古園」など周辺の施設の入場料が無料となり、大勢の人たちが「大天守」からの眺めなどを楽しんでいました。

また、姫路城を背景に写真を撮影するサービスも行われ、訪れた人たちは記念のメッセージを書き込んで、ボードに貼り付けていました。

姫路市の30代の男性
「姫路城は市民の心の象徴なので、改修を重ねながら堅ろうな木造建築物として保存していってほしい」

3歳の娘と一緒に写真を撮ってもらった姫路市の30代の女性
「次の世代にもこのまま残していってほしい」

また、姫路城の周辺を巡っている観光用のループバスが来年春から環境に配慮した車両になるということで、天守閣などがデザインされた最新型の電気バスも披露されました。

バスを導入する神姫バスの佐藤匡さんは、「姫路城を中心に『脱炭素化』を進める市の取り組みに貢献していきたい」と話していました。

屋久島 これからの屋久島のあり方を考える催し

鹿児島県の屋久島町役場では、世界自然遺産登録から30年を祝う催しが開かれました。

屋久島は1993年の12月11日、「縄文杉」が生育する場所など島の面積のおよそ20%にあたる1万ヘクタールあまりが、白神山地とともに国内で初めて世界自然遺産に登録されました。

屋久島町役場では11日、職員およそ50人が集まり、登録から30年を祝う催しが開かれました。

このなかで、環境省屋久島自然保護官事務所の竹中康進・首席企画官が講演し、「屋久島は世界自然遺産の評価基準のなかで、『自然美』と『生態系』の2つの基準を満たしています。国内で登録されているなかで自然美で選ばれたのは屋久島だけで、誇りに思っていいと思います」と話しました。

そのうえで、これからの屋久島について、「今後、再び利用客が増加する可能性もあり、訪れる人たちの調整など将来的なあり方を議論していく必要があります。外国人に対しても適正な利用に向けた戦略的な啓発を行いたいです」と述べ、環境省と町が一体となった取り組みの必要性を訴えました。

講演を聞いた30代の女性職員
「改めて自分が育ってきた屋久島の偉大さを感じました。島外の人から見た屋久島にも耳を傾け、一緒にこれからを考えていきたいです」