ウクライナ 米で支援継続の訴え 防衛産業で経済的自立目指す

支援減少が懸念される中、ウクライナ政府は先週、閣僚や高官からなる代表団をワシントンに送り、支援継続の必要性を訴えました。アメリカ議会で、野党・共和党からウクライナ支援に反対の声が出る中、議員たちと相次いで会談し、協力を求めたのです。ウクライナ支援反対派と目されていた下院共和党のトップ、ジョンソン下院議長とも会談しました。ジョンソン議長は、ウクライナ支援に前向きになりつつあるとも言われていて、予算案の議論に影響するか注目です。

国際報道2023の油井秀樹キャスターの解説です。

※12月8日「国際報道2023」で放送した内容です
※動画は3分38秒、データ放送ではご覧になれません

代表団のもう1つの目的は、「アメリカ・ウクライナ防衛産業会議」の開催でした。

両国の閣僚と防衛産業の代表350人が参加し、ウクライナ国内で無人機や兵器などを共同生産する可能性を議論。一部の共同生産や技術データの交換で合意し、署名式も行われたのです。

この防衛産業の誘致について、油井キャスターがウクライナで取材した政府高官は、経済的に自立するねらいを指摘しました。

(ダニロフ書記)
「ウクライナの経済発展が必要だ。私たちは世界がウクライナの生活まで支援しないのを理解している。支援はいつかは終わるので、私たち自身を守るシステムのためにはパートナーと合弁事業を行うことが非常に重要です」

ダニロフ書記は欧米の防衛産業がウクライナに進出する利点も強調しました。

(ダニロフ書記)
「戦場では、どの国も持っていないデータが得られる。実験施設で得られるものと実際の戦場で得られるものは大きく違うのです」

自国の経済力をどう発展させるかは長引く戦争の行方を左右しかねません。そして、今、その経済力発展のために、ウクライナ政府が目指しているのが、物流の拠点である「国際空港の再開」です。

首都キーウなどにある民間の国際空港は、軍事侵攻直後から閉鎖されたままで、ウクライナへの入国は陸路です。

そうした中で、ウクライナ政府は、今月、各国の大使館の関係者をキーウの国際空港に招いて空港を近く再開する方針を発表したのです。

会議の場となったキーウの空港には、キーウと各国の都市を結ぶ旅客便の案内のパネル。それに、日本行きのチェックインカウンターなども登場する、ゼレンスキー政権らしい演出で、各国に対して空港の再開に向けた協力を求めたのです。

空港が再開できれば、経済力とウクライナの空を守る防衛力にもつながると見ているゼレンスキー政権ですが、ロシアによる攻撃のリスクは存在するだけに空港再開が実現するか注目です。