ロシア 派兵で戦死の兵士急増 サハリンで慰霊碑の除幕式

ロシア極東のサハリン州からウクライナに派兵され戦死した兵士が、この2か月ほどで急増したことが地元の知事が発信する情報で明らかになりました。ウクライナ東部などで激戦が続く中、犠牲者が増えているという見方を裏付けるもので、サハリン州では9日、兵士たちを追悼する慰霊碑の除幕式が行われました。

ロシア政府は、ウクライナへの軍事侵攻に参加した兵士などの死者数をほとんど明らかにしていませんが、極東サハリン州のリマレンコ知事は、州内から派兵された兵士が亡くなるたびに名前や階級などをSNSに投稿し、追悼しています。

この情報を集計したところ、去年は毎月の死者の平均が8人だったのが、ことしに入ってから増加し、10月には36人、先月には43人と急増したことがわかりました。

ウクライナでは、反転攻勢を進めるウクライナ軍とロシア軍が東部ドネツク州などで激しい戦闘を続けています。

イギリス国防省などは、ロシア側の犠牲者が増えているとしていて、リマレンコ知事の情報はこうした見方を裏付けるものです。

リマレンコ知事は、9日発信した動画で州の中心都市ユジノサハリンスクにある墓地に兵士たちを追悼する慰霊碑が建立され、除幕式が行われたことを明らかにしました。

この中で知事は「1つの家族である私たちは息子たちの最期の旅立ちを見送るためここに集いました」とあいさつし、動画には参列した遺族の声も投稿されています。

息子を亡くした母親は「息子を誇りに思います。家族や祖国を守るために戦ったのです」と話し、兄弟を亡くした女性は「この痛みをことばで表すことはできません」などと話していました。

高さ4メートルほどの慰霊碑は、軍事侵攻への支持を示す象徴となっている「Z」の文字もデザインされています。

亡くなった兵士たちを英雄視することで戦時下における人々の結束をうながすねらいがあるとみられます。

真新しい墓が次々と

慰霊碑が建立されたユジノサハリンスクの墓地の一角には、ウクライナで死亡した兵士の真新しい墓が次々と建てられています。

それぞれの墓石には兵士の名前や亡くなった日付けに加えて似顔絵が彫り込まれ、ロシアの国旗や所属していた部隊の旗などが飾られています。

また、市内中心部にある巨大な電光掲示板には、亡くなった兵士の顔や名前が次々と映し出され、その栄誉をたたえるとともに愛国心に訴えることで、軍事侵攻への支持を改めてとりつけようとしています。