経済安保面の“重要物資”国内生産企業に法人税減税措置の方針

政府・与党は、脱炭素や経済安全保障の観点から重要な物資を国内で生産する企業の法人税を減税する措置を新たに設ける方針で、対象の物資は半導体や蓄電池などとし、期間は10年間とすることで調整しています。

11月にまとまった経済対策に国内投資を促す税制措置の導入が盛り込まれたことも踏まえ、政府・与党は脱炭素や経済安全保障の観点から重要な物資を国内で生産する企業に対し、法人税を減税する措置を新たに設ける方針です。

対象の物資は、半導体のほか、電気自動車や蓄電池、廃油などを原料とする新たな航空燃料「SAF」、二酸化炭素の排出量を大幅に抑えられるいわゆる「グリーンスチール」や「グリーンケミカル」とし、減税を措置する期間は計画の認定から10年間とすることで調整しています。

物資の類型ごとに基準を設けて生産量に応じた金額を法人税の納税額から差し引くほか、生産当初は赤字でも黒字になるまで一定期間、減税措置の適用を繰り越せるようにする方向です。

減税の財源の一部には脱炭素社会の実現に向けた民間投資を後押しするために発行するGX経済移行債を充て、一定の減税規模を確保するとしています。

政府・与党としては、初期投資が大きく短期間で採算がとりにくい一方、戦略的に重要な物資の生産を税制面から後押しし、中長期的な成長につなげたい考えで、近くまとめる税制改正大綱に制度の詳細を盛り込む方針です。