陸上10000mの日本選手権 塩尻和也が優勝 廣中璃梨佳は3連覇

パリオリンピックの代表選考を兼ねた陸上10000メートルの日本選手権が行われ、男子は27歳の塩尻和也選手が日本記録を更新する27分9秒80のタイムで初優勝し、女子は23歳の廣中璃梨佳選手が大会3連覇を達成しました。ただ、ともにパリオリンピックの参加標準記録は突破できず、今大会での代表内定はなりませんでした。

パリオリンピックの代表選考を兼ねた陸上10000メートルの日本選手権は、トラックに配置されたLEDライトが、決められたペースで光る「電子ペーサー」と呼ばれる機器が初めて導入されて、国立競技場で行われました。

このうち男子は序盤から塩尻選手や日本記録保持者の相澤晃選手、それに26歳の太田智樹選手などが先頭集団を形成し、日本記録とほぼ同じハイペースで終盤までレースが進みました。

8000メートル過ぎに塩尻選手がスパートをかけて抜け出すと、そのまま伸びのある走りで最後まで逃げきって、これまでの日本記録をおよそ9秒更新する27分9秒80のタイムで初優勝を果たしました。

2位は27分12秒53で太田選手が入り、3位の相澤選手までがこれまでの日本記録を更新する高速レースとなりました。

一方、女子は東京オリンピック7位入賞の廣中選手がラスト200メートルでスパートをかけて、30分55秒29でフィニッシュし、大会3連覇を果たしました。

ただ、男女ともにパリオリンピックの参加標準記録は突破できず、今大会での代表内定はなりませんでした。

男子 初優勝の塩尻和也「参加標準記録を突破しなければ」

塩尻和也選手は「きょうのレースは、8000メートルまで先頭集団について、それ以降、勝負どころとなる場面で、しっかり前に出られるように意識して臨んだ。そのとおりに走れて、日本記録が出てとてもいい結果で走れたと思う」と笑顔でレースを振り返りました。

その一方で「オリンピックの参加標準記録は27分ちょうどになっているので、国内のレベルから見れば高い記録ではあるが、海外に目を向ければ、そこを更新していかないといけない。今回は個人のタイムとしてはうれしいが、ここからより上げていって、参加標準記録をまずは突破しなければ国際レースでの勝負は難しい」と気持ちを引き締めていました。

そして今後、パリオリンピック出場を目指すうえでは「単純計算で5000メートルを13分半を切るスピードが必要になってくるので、スピードが第一だし、スタミナも必要になってくる。どちらも鍛える練習が必要で、それを当たり前にできるようにするのが大切だと思う」と、さらなる成長を誓っていました。

女子3連覇 廣中璃梨佳「もっとスパートの距離を伸ばしたい」

廣中璃梨佳選手は「レース前は3連覇は考えてなかったが、実際にできてうれしい」と喜びを口にしました。

ラスト200メートルでのスパートについては「ラスト1周まで4人で走るとは想定してなかった。冷静に走りながら残り400メートルか200メートルで行くかを見極めた。しっかりスパートをかけることができたので、自信にしつつ、もっとスパートの距離を伸ばしていきたい」と話していました。

そのうえで「パリオリンピックの参加標準記録を突破するために5000メートルも10000メートルも両方自己ベストを出していけるように磨いていきたい」と今後の目標を話しました。

男子2位 太田智樹「負けてしまったので反省を」

これまでの日本記録より速いタイムで2位に入った太田智樹選手は「きょうはとにかく前でレースを進めようと積極的に行って途中までは余裕があったが、ラスト2000メートル辺りから余裕がなくなってしまった。自己ベスト更新で日本記録も更新できたが、負けてしまったのでその点は反省しないといけない」とレースを振り返っていました。

男子3位 相澤晃「復活 新しい自分への第一歩に」

また、けがから復帰しておよそ1年半ぶりの10000メートルのレースで自身が持っていた日本記録より速いタイムで3位に入った相澤晃選手は「自己ベストは更新することができたので、復活、そして新しい自分への第一歩になったかと思う。今の状況でこのタイムなので、参加標準記録はねらっていけると思う。来年5月の日本選手権では優勝を目指していいタイムを出していい走りができればいい」と先を見据えていました。