COP28 日本企業 省エネ技術アピール 次世代太陽電池に注目

UAE=アラブ首長国連邦のドバイで開かれている国連の気候変動対策の会議、COP28は、各国が脱炭素に向けた技術を発信する場にもなっています。日本企業が出展する次世代の太陽電池なども注目を集めています。

UAEで開かれているCOP28では、脱炭素に向けた日本の取り組みを紹介する展示が設けられ、ことしは日本企業14社が最新技術をPRしています。

このうち、パナソニックは、次世代の太陽電池を展示しています。

日本が開発した、太陽の光を電気に変える「ペロブスカイト」と呼ばれる物質を活用した電池で、この会社では、印刷技術を応用してガラスに塗ることで、電池と一体化させた技術をPRしています。

ビルの壁面など、電池の設置が難しかった場所でも発電できるメリットがあり、この会社では今後、大型化を進めて、さらに発電効率を高めたいとしています。

また、三菱重工業は高効率のガス火力発電に水素を混ぜて使うことで、二酸化炭素の排出を抑える技術を展示していて、2030年ごろには水素だけで発電する技術の実用化を目指しています。

経済成長が続くアジアの国々などで、二酸化炭素の排出削減と持続的な成長の両立が課題となるなか、各社は日本が強みを持つ脱炭素の技術の海外展開を目指しています。

日本企業 省エネ技術アピールの展示も

COP28に合わせて日本企業が出展したパビリオンでは、省エネ技術をアピールする展示も目立っています。

このうち、大阪に本社がある大手空調メーカーの「ダイキン工業」は、今回、初めて出展し、自社で生産しているエアコンの技術を紹介しています。

冷房は世界の電力需要のおよそ10%を占めているうえ、気温の上昇や新興国の経済成長に伴い利用の増加が見込まれていて、省エネ化などで温室効果ガスの排出削減をいかに進めていくかが今回のCOP28でも議論の1つとなっています。

このため、このメーカーは今回、省エネ性能が高いインバーターを搭載したエアコンをアピールしています。

搭載されたインバーターは、エアコンのモーターの動きを制御できる装置で、少ない消費電力で室内の温度を一定に保てることから、インバーターを搭載していないエアコンと比べると、消費電力を50%以上削減できるとしています。

しかし、会社によりますと、インバーターを搭載したエアコンの普及率は
▽日本やEU=ヨーロッパ連合は100%
▽中国は97%となっているのに対し
▽インドは70%
▽インドネシアは12%などと、
新興国や発展途上国では、価格の高さなどがネックとなり、低い普及率にとどまっています。

会社では、東南アジアや中東などへの販売を強化するとともに、こうした国々に対し、省エネ規制の導入の働きかけも行いたいとしています。

小山師真担当部長は「インバーターを搭載しているエアコンは、2割程度、価格は高くなるが、消費電力の削減で、導入コストは回収できると思う。こうしたエアコンを普及させ、世界の二酸化炭素の排出の抑制に貢献したい」と話しています。

また、大阪のスタートアップ企業は、室内の温度上昇などを抑制する効果がある特殊なシートを開発していて、今回、初出展しました。

このシートは太陽熱を反射する機能や熱を放出する「放射冷却」の機能を持つ特殊な樹脂などを薄く何層も重ねる形で加工され、テントの生地や建物の屋根に貼ると、内部の温度を下げる効果があります。

会社では省エネにつながる技術としてビジネスの拡大を目指していて、大阪市の研究所では、実際にテントや機械にシートを貼って、使用しない場合との温度の違いを実証しています。

夏場では、内部の温度を10度以上、下げることができ、エアコンの使用も抑えられることから40%ほどの消費電力の削減が期待できるということです。

シートを開発した「SPACECOOL」の末光真大さんは「このシートは貼るだけで簡単に放射冷却機能の効果を発揮することができる。今回の会議を通じてこの素材の存在を知ってもらい空調のコストの低減につなげていきたい」と話しています。