【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる10日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 アルゼンチンへ 南米との関係強化ねらいか

ウクライナのゼレンスキー大統領は、南米のアルゼンチンに向けて出発し、新興国や途上国などのいわゆるグローバルサウスの国々との関係を強化するねらいがあるとみられます。

ウクライナ大統領府は9日、ゼレンスキー大統領が10日に行われる南米アルゼンチンのミレイ新大統領の就任式に出席するためアルゼンチンに向けて出発したと発表しました。

ゼレンスキー大統領が南米を訪れるのは就任以来初めてで、新興国や途上国などのいわゆるグローバルサウスの国々との関係を強化し、ロシア軍の完全撤退などを盛り込んだ自らの和平案への支持を広げるねらいがあるものとみられます。

ウクライナ国防相 “米製F16戦闘機 まもなく軍に供与”

ウクライナでは東部や南部で激しい戦闘が続いていて、アメリカのシンクタンク戦争研究所は9日、ロシア軍は雪などで地面がぬかるむ中でも攻撃の手を緩めず、プーチン大統領が立候補を表明している来年3月の大統領選挙までに戦果を上げようとしていると分析しています。

こうした中、ウクライナのウメロフ国防相は、地元のメディアに対してアメリカ製のF16戦闘機がまもなく軍に供与されると明らかにし、ウクライナ軍の反転攻勢がこう着状態に陥っていると指摘される中、局面打開につなげたいものとみられます。

ゼレンスキー大統領の妻が危機感 ウクライナ支援欧米で鈍る

ウクライナへの支援をめぐり、アメリカでは、与野党の主張が対立するなどして議会での審議が進まなくなっていてドイツの研究機関がことし8月から10月に各国から新たに表明された支援額がこれまでで最も低くなったと発表するなど、欧米各国で動きが鈍っています。

こうした現状についてウクライナのゼレンスキー大統領の妻、オレーナ氏は7日、イギリスの公共放送BBCのインタビューに対し「私たちには支援が本当に必要だ。もし世界が疲れてしまったら、私たちを死なせることになるだけだ」と述べ、強い危機感を示しました。

その上でオレーナ氏は「私たちが2年間言い続けているのは、侵略を止めなければウイルスのように拡散するということだ」と述べ、ロシアの軍事侵攻をいま止めなければ、世界の安定が脅かされるとして支援の継続を強く訴えました。

“ウクライナの領土でロシアの選挙 国際法に違反”と強く非難

ロシアのプーチン大統領は、8日、来年3月に行われる大統領選挙に立候補する意向を表明しました。

プーチン政権は、ウクライナの南部クリミアのほか去年、一方的に併合を宣言した東部と南部の4つの州でも、選挙を行うとしています。

これについてウクライナ外務省は9日、声明を発表し「ウクライナの領土でロシアの選挙を行うことは、国際法に著しく違反する」と述べ、選挙は無効だと強く非難しました。

そのうえで国際社会に対し「選挙を実施しようとするロシアの意図を断固として非難し、それに関与した者に制裁を科すよう求める」と呼びかけました。

“ロシア国内 6割近くが和平交渉開始求める”

ロシアの独立系の世論調査機関「レバダセンター」は8日、ウクライナへの軍事侵攻をめぐるロシア国内での最新の調査結果を発表しました。

それによりますと「軍事行動を続けるべきか、和平交渉を開始すべきか」という質問に対して、「和平交渉の開始」と答えた人は57%でした。

これは予備役の動員に踏み切った後に行われた去年10月の調査とならんでこれまでで最も高くなっています。

一方「軍事行動の継続」と答えた人は36%でした。「レバダセンター」は、プーチン政権から「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。