南シナ海 中国海警局の船がフィリピン当局の船に放水銃発射か

フィリピン政府は、中国と領有権を争う南シナ海で9日、フィリピン当局の船が中国海警局の船から放水銃を複数回発射され、機材を損傷する被害を受けたと抗議する声明を発表しました。

フィリピン政府は9日、ルソン島から西に200キロ余り離れた南シナ海にあるスカボロー礁と呼ばれる岩礁の周辺で、フィリピン漁業水産資源局の3隻の船が中国海警局の船から少なくとも8回にわたり放水銃を発射されたと発表しました。

公開された映像には、中国海警局の2隻の船がフィリピン側の船を挟み込んで両側から放水銃で水をあびせる様子が映っていて、放水を受けた船は搭載していた通信機器などが損傷したということです。

さらに中国の海上民兵を乗せたとみられる船が、大きな音を出す装置を使ってフィリピン側の乗組員に多大な不快感を与えたということです。

フィリピン国家安全保障会議は、「違法であるだけでなく非人道的な行為だ」と抗議した上で、2016年の国際的な仲裁裁判の判断でもスカボロー礁ではフィリピンの漁業権が認められていると強調しました。

これに対し、中国海警局はスカボロー礁の中国名、黄岩島という呼び方を使って「法に基づき黄岩島の周辺海域に侵入したフィリピン漁業水産資源局の3隻の船に対し、取締りを行った」と発表しました。