サッカー天皇杯 川崎フロンターレが3大会ぶり優勝 PK戦制す

103回目を迎えたサッカー日本一を決める天皇杯、全日本選手権の決勝が国立競技場で行われ、川崎フロンターレが柏レイソルをペナルティーキック戦の末に破って3大会ぶり2回目の優勝を果たしました。

天皇杯は来年1月からアジアカップが行われることを踏まえて、103回目となる今大会は9日、国立競技場で決勝が行われました。

3大会ぶり2回目の優勝を目指すフロンターレと、前身のチームを含めて11大会ぶり4回目の頂点を狙うレイソルは、どちらもチャンスを作りながらゴールを奪えず、ともに無得点のまま延長戦に入りました。

延長前半にはレイソルのフォワード、細谷真大選手が抜け出して1対1の場面を作りましたが、フロンターレのゴールキーパー、チョン・ソンリョン選手が体を投げ出す好セーブでしのぎました。

延長後半にはフロンターレの途中出場のバフェティンビ・ゴミス選手がクロスボールを正確に頭で合わせましたが、レイソルのキーパー、松本健太選手が鋭く反応して防ぎ0対0のまま決着はつかず試合はペナルティーキック戦に入りました。

そのペナルティーキック戦もともに2人が外し、10人目までもつれる展開となり、フロンターレはキーパーのチョン選手が冷静に決めました。

レイソルも10人目はゴールキーパーの松本選手が務めこのシュートをチョン選手が止めて8対7として、フロンターレがこの試合を制しました。

フロンターレは3大会ぶり2回目の優勝で2シーズンぶりのタイトル獲得となりました。

3大会ぶり優勝の川崎 監督・選手談話

【鬼木達監督】
「今のチームを象徴しているかのように、我慢強く戦って0点で抑えた。諦めてもおかしくない場面でも諦めずにやってくれて優勝につながったと思う」と振り返りました。その上で今後に向けては「苦しんだだけ選手は成長してくれているし、タイトルを取り続けなければわからないこともあるので、とにかくタイトルを取り続けていきたい」と意気込んでいました。

【キャプテン橘田健人】
「チームとしてタイトルを取れたことをうれしく思う。1年間苦しい時期もあったが、みんなと喜ぶことができて幸せだ」と涙を流しながら答えました。そのうえで「去年はタイトルを取ることができなかったので、クラブとしても本当に大きなタイトルになった。今シーズンはACL=アジアチャンピオンズリーグも残っているので頑張りたい」と意気込んでいました。

【中盤支えた脇坂泰斗】
「今シーズンはいい時ばかりではない1年間だったが、チームメイトやサポーター、監督やスタッフも前向きに支えてくれて感謝の気持ちでいっぱいだ」と涙を流しながら答えました。その上で「個人としてはよいプレーができなかったが、勝てたので満足だ。もっともっと成長していきたい」と前を向いていました。

【PK決めた直後に止めて優勝決定 GKチョン・ソンリョン】
ペナルティーキック戦で10人目としてシュートを決めたあと相手のシュートを止めてチームの優勝に貢献した川崎フロンターレのゴールキーパー、チョン・ソンリョン選手は「いつも応援ありがとうございます。勝ててよかったです。めちゃめちゃうれしいです」と喜びを表しました。その上で「最後まで頑張ってこれたのは優勝したかったからで、みんなの力があったからだ」とこたえていました。

両ゴールキーパーが奮闘

国立競技場に6万2000人を超える観客が詰めかけた103回目の天皇杯の決勝。

ペナルティーキック戦までもつれ込んだ一戦は、フロンターレとレイソルの選手合わせて20人が蹴る手に汗握る展開となり、両チームのゴールキーパーの奮闘が際立ちました。

【両チームGKが好セーブ】
天皇杯の決勝は、前後半の90分を終え、フロンターレとレイソルの両チーム無得点で延長に入りました。

延長前半にはレイソルのフォワード、細谷真大選手が抜け出してゴールキーパーと1対1の場面を作りましたが、フロンターレのゴールキーパー、チョン・ソンリョン選手が2度にわたって好セーブを見せてピンチをしのぎました。

一方、レイソルのゴールキーパー松本健太選手も、延長後半、クロスボールからのヘディングシュートに鋭く反応してゴールを許さず、試合はペナルティーキック戦にもつれ込みました。

【PK戦は混戦に】
ペナルティーキック戦は、両チームとも1人目から3人連続でシュートを決めました。

そして、フロンターレの4人目が決めたあと、レイソルの4人目のシュートがゴールポストに当たって外れ、フロンターレは次の5人目が決めれば優勝という場面になりました。

ここで勝負強さを発揮したのが、レイソルのゴールキーパー、松本選手でした。

フロンターレの5人目が蹴ったゴール右へのシュートをコースを読んでセーブすると、6人目のシュートもコースを読み切って止めました。

その後、レイソルの6人目も外したため、ペナルティーキック戦はさらに続き、7人目から9人目までは両チーム3人連続で決めて7対7で迎えた10人目、フロンターレはゴールキーパー、チョン選手に順番が回りました。

チョン選手は「正直、自分まで回ってくるとは思っていなかった」としながらも「練習どおりに自信を持って蹴れた」とゴール右上に正確にシュートを決めました。

対するレイソルの10人目もここまで好セーブを連発しているゴールキーパーの松本選手でした。ゴール左を狙って鋭いシュートを蹴りましたが、チョン選手がコースを読み切って止めました。

目まぐるしく流れが変わり、両チーム合わせて20人が蹴るという混戦のペナルティーキック戦はフロンターレが8対7で制し、2回目の天皇杯優勝を手繰り寄せました。

試合後、フロンターレの鬼木達監督はゴールキーパーのチョン選手について「ゲーム中に1対1を決められていたら、このような結果にはなっていなかった。ゴールを守るというところを評価している。ペナルティーキックも、きのうの練習で上手に決めていた。決勝という舞台は経験が重要になってくるのでそこが生きたのかなと思う」とねぎらっていました。

一方、レイソルの松本選手は「ペナルティーキック戦は、データをもとにいい駆け引きができたからこそ止めることができた。蹴るほうも練習していて事前に蹴る方向は決めてうまく蹴れたが、チョン選手に読まれて止められたことがすべてだと思う」と、淡々と振り返りながら悔しさをにじませました。

これまで数々の熱戦が繰り広げられてきた天皇杯の決勝。

103回目の決勝は、両チームのゴールキーパーの奮闘が際立ち、新たな名勝負として歴史に刻まれました。