松野官房長官の交代含め岸田首相が対応検討 政治資金問題で

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、松野官房長官側がキックバックを受けて、収支報告書に記載していない疑いが持たれていることを踏まえ、岸田総理大臣は松野氏を交代させることも含めて対応を検討しています。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、最大派閥の安倍派「清和政策研究会」に所属する松野官房長官側は、去年までの5年間で1000万円を超えるキックバックを受け、政治資金収支報告書に収入として記載していない疑いがあることが明らかになっています。

与党内からは「このままでは、内閣の要としての業務に支障が出て、政権運営に影響しかねない」などと、松野氏の辞任は避けられないという見方が強まっています。

こうした中、岸田総理大臣は松野氏を交代させることも含めて対応を検討しています。

一方、安倍派の高木国会対策委員長と世耕参議院幹事長の側も、松野氏と同様の疑いがあることが明らかになるなど、政府・与党内では内閣改造や党役員人事の必要性を指摘する声も出始めています。

岸田総理大臣としては、来週13日の臨時国会閉会後に、検察が関係者への事情聴取を本格化させるとみられることや、来年度予算案の編成作業が大詰めを迎えることなどを念頭に慎重に判断する考えです。

岸田首相 麻生副総裁と会談 今後の対応策を検討か

岸田総理大臣は9日夜、総理大臣公邸で自民党の麻生副総裁と会談しました。

党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、今後の対応策を検討したものとみられます。

自民 茂木幹事長 “派閥パーティーも党本部関与し確認”

自民党の茂木幹事長は大阪市で開かれた党の会合で、「内閣支持率が下落しているのも確かであり、危機感を持って深刻に受け止めている」と述べました。

そのうえで、「今後の状況を把握しながら、透明化を高める再発防止策や、派閥のパーティーであっても党本部も関与して問題がないか確かめるプロセスの導入なども含め、しっかりした措置をとることで国民の信頼回復を図っていきたい」と述べました。

自民 世耕参議院幹事長「区切りつけば説明責任果たしたい」

自民党の世耕参議院幹事長は京都府宇治市で講演し、所属する安倍派やみずからの政治資金をめぐる問題について、「国民の政治不信をかきたてていることは本当に申し訳なく思う」と陳謝しました。

一方で、「私の立場で発言すると捜査そのものに影響を与えかねず、なかなか説明できない状況だ。事実関係を調査・確認して適切に対応し、検察の捜査には全面的に協力する。いずれかのタイミングで区切りがつき、説明できるようになればしっかりと説明責任を果たしたい」と述べました。

このあと、世耕氏は記者団に対し、「疑念を持たれるような事態は国民の政治不信を起こすことにつながるわけであり、深くおわびを申し上げたい」と重ねて陳謝しました。

一方、党の参議院幹事長を辞任する考えはないか問われたのに対しては「しっかり職責をまっとうしていきたい」と述べました。

自民 高木国会対策委員長「職責をしっかりと全う」

自民党安倍派の事務総長を務める高木国会対策委員長は9日夜、地元の福井県越前町で開いた国政報告会に出席したあと、記者団の取材に応じました。

この中で高木氏は「世間をお騒がせしていることを大変申し訳なく思うし、政治不信にもつながっていると思う。改めておわび申し上げたい」と陳謝しました。

その上で「捜査が始まっていると聞いており、慎重に事実関係を調査・確認し、適切に対応していくことに尽きる。時期が来れば説明することが必要だ」と述べました。

一方、党の国会対策委員長や安倍派の事務総長のポストについては「職責をしっかりと全うすることが私の務めだ」と述べました。

立民 泉代表「キックバックを受けた金を何に使ったのか」

立憲民主党の泉代表は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について、静岡市で記者団に対し、「裏金でつくった人間関係や支持者、支持率に支えられてきたのが今の自民党政権だとすれば正当性はない。キックバックを受けた金を何に使ったのか明らかにしないとダメだ」と指摘しました。

そのうえで、「自民党内からどれだけ自浄作用の声が上がるか問われている。派閥を解体してもいいのではないか」と述べました。

一方、松野官房長官を含め、問題が明らかになっている安倍派幹部の進退について、「本人たちは自覚があるはずで、役職からみずから身をひくのは当然だ。違法な行為がわかれば、議員の身もひいてもらうことになるだろう」述べました。