遺伝子原因で血液異常の病気 ゲノム編集応用の治療法 米で承認

アメリカのFDA=食品医薬品局は遺伝子が原因となって血液に異常が起きる病気に対し、遺伝子を自在に操作する技術、ゲノム編集を応用した治療法を承認したと発表しました。ゲノム編集の新たな手法は2020年のノーベル化学賞の対象となっていて、その応用が治療法としてアメリカで承認されたのは初めてだということです。

FDAは8日、アメリカのバイオ企業「バーテックス・ファーマシューティカルズ」などが開発した、遺伝子が原因で起きる病気「鎌状赤血球症」に対する治療法を承認したと発表しました。

鎌状赤血球症は血液中の赤血球の異常で酸素がうまく運べず、激しい痛みが起きたり早くに亡くなったりする病気で、アメリカではおよそ10万人の患者がいるとされています。

今回、承認された治療法は、血液の元になる細胞を患者から取り出して、ゲノム編集で遺伝子を変化させ、再び患者に戻して血液が酸素を運べるようにする仕組みです。

治療法に用いられているゲノム編集の手法は2020年のノーベル化学賞の対象となっていて、それを応用した今回の治療法は先月、イギリスで承認されており、アメリカで承認されたのはこれが初めてだということです。

FDAは「今回の承認は遺伝子治療の分野で革新的な進歩があったことを示している」としています。