台湾産果物の輸入認可業者を中国側が大幅増 総統選ゆさぶりか

中国政府は台湾産の果物「シャカトウ」について、輸入を認める台湾の業者を大幅に増やすと発表しました。この果物の産地は中国との交流拡大の必要性を訴える台湾の最大野党・国民党の地盤で、1月の総統選挙を前に、国民党を支持すれば利益が得られるとアピールし、台湾側をゆさぶるねらいがあるとみられます。

中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は台湾産の果物「シャカトウ」について、産地の台東県にあるおよそ1300の業者が新たに登録されたと8日に発表しました。

台湾産の「シャカトウ」は中国政府が2021年、害虫が検出されたとして輸入を停止していましたが、ことし6月、およそ30の業者に限って輸入を再開していて、今回、その業者数を大幅に増やしました。

今回の措置について中国の国務院台湾事務弁公室は「『台湾独立』に反対し、大陸の検疫規定に一致さえすれば、台湾の農水産物の輸入再開を支持したい」と強調しました。

中国政府は来月の台湾総統選挙に与党・民進党から立候補している頼清徳氏を「独立派」などと名指しで非難していて、民進党政権を継続させないように圧力をかけた形です。

シャカトウの産地の台東県は中国との交流拡大の必要性を訴える台湾の最大野党・国民党の地盤で、党の副主席と県のトップがことし6月、中国を訪れ、中国政府の高官に直接輸入の再開を求めていました。

中国の発表について、台湾の民進党政権で対中国政策を担当する大陸委員会は「両岸の連絡ルートを意図的に避け、ある政党や地方政府と協議している」と反発しています。

中国としては来月の台湾総統選挙を前に、国民党を支持すれば利益が得られるとアピールし、台湾側をゆさぶるねらいがあるとみられます。