【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月9日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる9日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ空軍報道官「ロシア軍 ミサイル備蓄ある程度回復」

ウクライナ空軍の報道官は地元テレビに出演し「ロシア軍はこの数か月、巡航ミサイルによる大規模な攻撃を仕掛けてこなかったため、ミサイルの備蓄をある程度回復させている」との見方を示しました。

ウクライナエネルギー省 火力発電所砲撃被害で節電呼びかけ

ウクライナのエネルギー省は7日、火力発電所が砲撃を受け、深刻な被害が出たとして、住民に節電に努めるよう呼びかけていて、本格的な冬を迎えるなか、ロシア軍が電力インフラへの攻撃を仕掛けてくることに警戒を強めています。

ウクライナ軍報道官“ロシア軍兵士 死よりも指揮官恐れ前進”

ウクライナ軍の報道官は地元メディアに出演し、東部ドネツク州のアウディーイウカで、4万人のロシア軍が展開し、1日あたり300人から400人の死傷者を出しながら戦闘を続けているとの見方を示しました。

そのうえで「ロシア軍の指揮官は兵士を動物のように扱っている。食べ物も水も与えられないこともある」と述べ、兵士らは死よりも指揮官を恐れて前進しているだけだと主張しました。

ロシア軍 巡航ミサイル19発を発射 ウクライナ空軍が発表

ウクライナ空軍は8日、ロシア軍が戦略爆撃機から巡航ミサイル19発を発射し、このうち14発を東部のドニプロペトロウシク州とキーウ州で撃墜したと発表しました。

数発のミサイルはドニプロペトロウシク州にあるインフラ施設を狙ったものだったとしています。

首都キーウの当局者はSNSに、「敵は79日間の中断のあと、戦略爆撃機からの巡航ミサイルによる攻撃を再開した」と投稿し、本格的な冬を迎える中、ロシア軍がミサイルによるインフラ施設への攻撃を強化してくることに警戒を強めているとみられます。

また、ウクライナ空軍はロシア軍がウクライナ東部のハルキウ州で、対空ミサイルを使った攻撃を行ったと発表しました。

地元の知事などによりますと、この攻撃で2人がけがをしたほか、複数の集合住宅や車両が破壊される被害が出たということです。

こうした中、ロシア大統領府のペスコフ報道官は8日、記者から、「アメリカはロシアが来年、ウクライナ側の条件で和平交渉に参加することを望んでいるようだが、これは現実的か」と聞かれ、「全く非現実的だ」と述べました。

そのうえで、アメリカはウクライナ人の命を犠牲にして、ウクライナでの戦闘から経済的な利益を得られるようにしているなどと一方的に主張して批判しました。

プーチン大統領 大統領選挙に立候補を表明 侵攻継続へ

ロシアのプーチン大統領は8日、首都モスクワのクレムリンで開かれたウクライナへの軍事侵攻に参加する兵士などをたたえる式典に出席しました。式典のあと、参加した兵士などがプーチン大統領のもとに駆け寄り、「あなたが私たちの大統領だ。ロシアはあなたを必要としている」などと訴えかけました。

これに対して、プーチン大統領は「今が決断のときだ」と応じ、来年3月17日に行われる大統領選挙に立候補する意向を表明しました。プーチン大統領にとっては通算5回目の立候補となり、当選すれば新たな任期は2030年までとなります。

大統領選挙を巡ってプーチン政権はウクライナの南部クリミアのほか、去年、一方的に併合を宣言した東部と南部の4つの州でも強行するとしています。

国営テレビで放送された今回の立候補表明は兵士から直接、請われたとする形が強調されていて、戦時下のロシアでプーチン大統領の存在は欠かせないと強調するねらいとみられます。

有力な対立候補はおらず、プーチン氏の当選は確実視されています。

プーチン大統領としては国の存亡をかけた戦争が続いているとして、国民に結束を訴えながら政権基盤をいっそう固め、軍事侵攻を続けていく構えとみられます。

プーチン大統領の立候補表明 モスクワ市民は

プーチン大統領が来年3月に行われる大統領選挙に立候補する意向を表明したことについて、首都モスクワの市民からはさまざまな声が聞かれました。

このうち、学生だという女性は「彼が当選することを願っている」と話していました。

ウクライナ東部のドンバス地域の出身だという女性は「ウクライナとの戦争が終わることを期待している。プーチン大統領は長く政権にいすぎると思う」と述べる一方で、「ほかの誰かに投票しても何も変わらないだろう。必ずプーチン大統領が残り続けるのだろう」と悲観的な様子で話していました。

プーチン大統領の立候補について キーウ市民は

プーチン大統領が来年3月に行われる大統領選挙に立候補する意向を表明したことについて、ウクライナの首都キーウでは、戦闘の長期化への懸念が聞かれる一方、勝利するまで戦い続けるべきだという声が聞かれました。