リニア中央新幹線 環境保全対策の報告書 国からJR東海に手渡す

静岡県が着工を認めていない「リニア中央新幹線」について、JR東海が取るべき環境保全対策を盛り込んだ国の有識者会議の報告書がまとまり、国からJR側に手渡されました。

リニア中央新幹線について、JR東海は2027年の開業を目指していますが、静岡県は、トンネル工事などに伴う「水資源」や「環境保全」への懸念から着工を認めていません。

両者の仲裁に入る形で、国が設けた有識者会議は、JR側が十分な対策をとれば大井川の水の流出を抑えられるなどとした「水資源」に関する報告を2年前に公表したのに続き、「環境保全」についての報告書を取りまとめました。

報告書では、JR側が取るべき対策として挙げた、
▽トンネルを掘った際に、周辺の沢の水量の減少を抑える保全措置や
▽工事の残土が周辺環境に与える影響を調べるモニタリングなどについて、
「整理された」としたうえで、国もこうした対策を客観的な立場で確認すべきだとしました。

3年半にわたる有識者による議論はこれで終了し、8日は斉藤国土交通大臣が、この報告書をJR東海の丹羽俊介社長に手渡しました。

丹羽社長は「報告書を踏まえ、積極的な情報発信と丁寧な説明を行い、環境保全に全力で取り組んでいく」と述べました。

一方、静岡県の川勝知事は7日、「今後も議論が必要な課題が残されていて極めて遺憾だ。県の専門部会での議論を再開するほか、JR東海との対話を進めていく」というコメントを発表しています。