衆院予算委 首相 政治資金問題 “強い危機感持って取り組む”

国会は衆議院予算委員会で集中審議が行われ、立憲民主党は松野官房長官の政治資金をめぐる問題などを追及しました。また、岸田総理大臣は自民党の派閥の政治資金をめぐる問題について、政治の信頼を取り戻すために強い危機感を持って党一体となって取り組んでいく考えを示しました。

約15分遅れて始まる

衆議院予算委員会は、松野官房長官が、所属する自民党安倍派から、去年までの5年間で1000万円を超えるキックバックを受け、政治資金収支報告書に収入として記載していない疑いが明らかになったことを受けて、与野党の間で協議が続いたことから、およそ15分遅れて始まりました。

自民 鈴木馨祐氏

自民党の鈴木馨祐氏は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「党総裁としてリーダーシップをとり、国民の信頼を回復し、不信を払拭(ふっしょく)できるよう、状況の解明や対策に指導力を発揮してほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「政策集団の政治資金パーティーは信頼回復への道筋が明らかになるまで自粛することを確認したが、これはあくまでも第1歩だ。課題や原因を把握しながら、さらなる対応を行っていく。政治の信頼を取り戻すために強い危機感を持って党一体となって取り組んでいく」と述べました。

公明 佐藤英道氏

公明党の佐藤英道氏は「政治とカネの問題は国民の政治に対する信頼と直結する。政治への信頼を取り戻すため、岸田総理大臣が先頭に立って十分な説明責任を果たし、政治資金の透明化に向けて全力で取り組むべきだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「国の内外に大きな課題を抱える中で政治の信頼が重要であることは言うまでもない。政治の信頼が揺らぎ、厳しい目が自民党に注がれていることは深刻に受け止めなければならず、信頼回復に向け党として真剣に取り組んでいく」と述べました。

立民 枝野前代表

立憲民主党の枝野前代表は、松野官房長官の政治資金をめぐる問題について「パーティー券の販売でノルマを超えた分を派閥には報告や計上をせずに自分のところで抱えていたケースはあったのか、なかったのか」と追及しました。

これに対し、松野官房長官は「派閥で事実確認がなされている最中で、また報道によれば、派閥の政治資金の取り扱いについては刑事告発がなされ、関連して捜査が行われている。そうしたことを踏まえて、私の政治団体についても精査して適切に対応していきたい」と述べました。

さらに枝野前代表が「派閥のことは聞いておらず、安倍派の元事務総長としての松野議員に尋ねているのではない。松野議員の政治資金の取り扱いについて聞いているのだから答えてほしい」と重ねて問いました。

これに対し松野官房長官は「繰り返しになるが、派閥で事実確認がなされている最中であり、そうしたことを踏まえて私の政治団体についても精査して適切に対応していきたい」と述べました。

▽また岸田総理大臣は「今後、実態を把握しながら適切に対応していかなければならない。今の時点でご指摘の点などについて私がお答えすることは捜査に影響を与えるおそれがあり、答えは控える」と述べました。

一方、
▽松野官房長官は「派閥の事務方や自身の秘書が事情聴取を受けているから答えられないのか」と質問されたのに対し「捜査機関に関する事柄に関しては、政府としてお答えすることは控えさせていただきたい」と述べました。
(立民・西村代表代行への答弁)

▽さらに松野官房長官は「同じ答弁を繰り返し、説明責任を果たせないのなら、官房長官を辞めるべきではないか」と問われたのに対し「引き続き、私の所管する分野に関してその責任を果たしていきたい」と述べました。
(立民・後藤氏への答弁)

▽岸田総理大臣は、松野官房長官を更迭するよう求められたのに対し「捜査が進んでいる中で具体的な発言は控えなければならない立場にあるが、官房長官は内外の幅広い政策分野について発信していかなければならない。政府のスポークスマンとしてしっかり発信してもらう役割を果たしてもらいたい」と述べました。
(立民・後藤氏への答弁)

▽同じ安倍派に所属する西村経済産業大臣は、キックバックを受けていたか問われ「私自身の政治資金については改めてもう一度、慎重に、帳簿も過去のものもさかのぼって確認させている。そのうえで適切に対応したい。どこかの時点でしっかりと説明責任を果たさないといけないと考えている」と述べました。
(立民・後藤氏への答弁)

維新 馬場代表

日本維新の会の馬場代表は「そんじょそこらの小さな対策では国民は納得しない。改革の意思を示すためには、派閥を解消するとか、派閥の結成は今後、禁止するというぐらいの意気込みが必要だ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「問題の原因や課題に対応して、党としても思い切った対策を考え、政治の信頼回復のため、再発防止のために具体的な対応を考えていかなければならない。責任を持って考えていく」と述べました。

また馬場代表は総理大臣と野党党首による「党首討論」について「2年6か月開かれていないのは異常だと思う。もう廃止すべきでないか」とただしました。

岸田総理大臣は「議論を堂々と展開していくことは重要なことだ。ただ、この開催をどうするかとか、具体的なことは、行政府の長として申し上げるのは控えなければならない」と述べました。

国民 田中健氏

国民民主党の田中健氏はガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」をめぐり「今のガソリン価格を抑えるための補助金は石油の元売りに補助が出ている。石油業界がパーティー券を買っていることに、疑惑を持たれないためにも『トリガー条項』の流れを作るべきだ」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「補助金の相当額が卸価格に反映されたことが確認できた場合のみ補助金を支払う仕組みで、業界にお金が行っていると言われないよう適切に運用していく。『トリガー条項』の凍結解除については御党と与党の政策責任者の間で具体的な議論が行われていくので、協議を踏まえ適切に対応したい」と述べました。

共産 塩川鉄也氏

共産党の塩川鉄也氏は、岸田総理大臣が4年前に行ったアメリカの元下院議長との会談に旧統一教会関係者が同席していたと報じられたことをめぐり「面会の手配は旧統一教会系の団体が行ったとの報道がある。旧統一教会をアピールするイベントの1つだったのではないか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「面会の経緯は確認したが、誰がセットしたかなどを示すものは何もない。旧統一教会の関係者が同席していたとしても私自身は全く承知しておらず、ましてや私が統一教会と関係があったという指摘はあたらない」と述べました。

また、岸田総理大臣は「旧統一教会の関連団体との面談だと認識していた事実が明らかになった場合は総理大臣を辞めるか」と問われ「認識は間違いないということを説明することに尽きる」と述べました。
(立民・西村代表代行への答弁)

このほか、岸田総理大臣は、憲法改正や国会改革などへの賛否を問うため、衆議院を解散すべきではないかと問われ「国民の政治や自民党への厳しい目を考えると、さまざまな分野で思い切った改革に取り組む勇気を持つことは重要で、その先頭に立っていきたいと思うが、具体的な方策をこの場で申し上げることは控える」と述べました。
(維新・馬場代表への答弁)

新藤経済再生担当相

自民党茂木派「平成研究会」の事務総長を務める新藤経済再生担当大臣は「『平成研究会』の政治資金は事務方から政治資金パーティーの収入も含めて、すべての収入と支出を政治資金報告書に記載し、政治資金規正法にのっとった対応を行っていると聞いている」と述べました。
(立民・後藤氏への答弁)