松野官房長官“職責 果たしたい” キックバック不記載疑いで

松野官房長官は記者会見で、所属する自民党安倍派から1000万円を超えるキックバックを受け、適切に報告していなかった疑いが明らかになったことについて、具体的な事実関係の説明を避けたうえで「引き続き、緊張感を持って職責を果たしてきたい」と述べました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、最大派閥の安倍派「清和政策研究会」に所属する松野官房長官側は、去年までの5年間で1000万円を超えるキックバックを受け、政治資金収支報告書に収入として記載していない疑いがあることが明らかになりました。

これについて松野長官は閣議のあとの記者会見で「『清和政策研究会』が今後、事実確認のうえ、適切に対応するものと認識している。派閥の政治資金の取り扱いについて刑事告発がなされ、捜査が行われていると承知している」と述べ、具体的な事実関係の説明を避けました。

そして、官房長官を辞任する考えはないか問われたのに対し「引き続き、緊張感を持って与えられた職責を果たしていきたい」と述べました。

一方、記者団が「具体的な説明を避け続けるのは、岸田総理大臣から『答えないように』と言われているのか」とただしたのに対し「私の判断だ」と述べました。

午後の会見「改めて精査し適切に対応していく」

また、松野官房長官は午後の記者会見で記者団から「国会審議では『適正に処理してきた』と述べる一方、記者会見では『今後精査して適切に対応していく』と述べているが、どちらが正しい認識か」と問われ「政治団体の政治資金に関しては適正に対応してきたと考えている」と述べました。

その上で「しかしながら、いま、派閥の政治資金の取り扱いなども捜査の対象になっており、改めて私の政治団体に関しても精査し、適切に対応していくということだ」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「個人的な問題は答えにくいのでは」

安倍派の幹部を務める自民党の世耕参議院幹事長は「ほかの政治家の収支に関して具体的なコメントは控えたい。官房長官は政府の案件について記者会見をするので、個人的な政治資金の問題は答えにくいのではないかと推察する」と述べました。

また、自身は政治資金収支報告書に記載されていないキックバックを受け取っていないのか問われ「まずは事実関係を慎重に調査、確認し、適切に対応していくことが重要だ。自身の政治団体についてもしっかり精査したい」と述べました。

立民 泉代表 “辞任を要求 不信任は最終的に判断”

立憲民主党の泉代表は記者会見で「松野官房長官には大きな疑念がかかっており、真実を語るべきだ。予算委員会では『政府の立場』や『捜査を受けている』という理由で、全く答えていない。答弁もできず、他の業務にも支障が出る官房長官は、任にあたわない。辞任を要求し、松野氏の証人喚問を求めている。総理の任命責任は当然で、もはや内閣が正当性を持たない状況だ。裏金システムの根絶と悪徳幹部の全員退場を求めていきたい」と述べました。

そのうえで、記者団から「内閣不信任決議案を提出する考えはあるか」と問われたのに対し「さまざまなことを総合して、最終的に判断していく」と述べました。

また、泉氏は来年5月をめどに開催を検討している党の政治資金パーティーについて「さまざまなことは考えないといけない。最終的に決定していないが、やらない可能性もある」と述べました。

維新 馬場代表「詭弁は国民の胸には届かない」

日本維新の会の馬場代表は、記者会見で「西村経済産業大臣は『収支報告書をチェックし直している』という旨の答弁をしたが、松野官房長官もその程度の答弁はできるのではないか。国会で政治家としての答弁はできないという詭弁(きべん)は国民の胸には届かない」と述べました。

そのうえで「日ごとに官房長官を続けるのは難しくなってくるだろう。松野氏自身がよく考え、岸田総理大臣とも相談し、結論を出してもらいたい」と述べました。

一方、馬場氏は、今の国会での野党側による内閣不信任決議案の提出について「衆議院の議席数の関係で、野党側で内閣不信任決議案を提出できるのは立憲民主党しかない。あれほど予算委員会で追及したのであれば堂々と出すべきだ」と述べました。

そして、自民党が国会議員に毎月100万円支給されている「調査研究広報滞在費」の使いみちの公開などに後ろ向きだとして、決議案が提出されれば賛成する可能性があるという認識を示しました。

公明 石井幹事長 “精査し丁寧な説明を”

公明党の石井幹事長は記者会見で「疑惑を持たれた政治家はみずから説明責任を果たすべきで、捜査中で制約があるかとは思うが、できるだけ自身のことは精査したうえで丁寧な説明をしていただきたい」と述べました。

また、松野官房長官は辞任する必要があるかと問われ「政治家の出処進退はみずから決めるものなので、対応を見守りたい」と述べました。

一方、岸田総理大臣がみずからが会長を務めていた岸田派を離脱したことについては「判断は適切だが、できれば問題が起こる前に派閥を抜けていれば、もっと評価が高かったのではないか」と述べました。

共産 田村政策委員長「説明が何よりの責任 証人喚問しかない」

共産党の田村政策委員長は記者会見で「裏金づくり、所得隠しという重大な疑惑について否定ができない。これだけの疑惑を持っている閣僚が政治の中枢にいることは全く不適切で、岸田内閣全体に関わる重大な問題だ。国民が政治に対して大きな不信を抱かざるを得ない状況になっており、きちんと説明することが何よりの責任だ。具体的な中身について一切答弁をしようとしない以上、国会としては証人喚問をするしかない」と述べました。

一方、田村氏は、今の国会での野党側による内閣不信任決議案の提出について「今の岸田内閣が国民の信に耐える内閣でないことは明らかで、他の野党と話し合っていきたい」と述べました。

国民 榛葉幹事長 “岸田首相が決断する時 そう遠くないのでは”

国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「何を聞いても答弁を差し控えるのは国民が納得せず、答弁する閣僚がいる中、『怪しい』と言っているようなものだ。出処進退はみずからが決めることだが、予算委員会の雰囲気を見ると、岸田総理大臣が決断する時はそう遠くないのではないか」と述べました。

田中真紀子元外相「即 議員をやめるべきだ」

田中真紀子 元外務大臣は8日、通年国会の開催や世襲議員の制限など、政治改革の実現に向けた記者会見を国会内で開きました。

この中で田中氏は「民主主義というのは言論であり、言葉をどれだけわかりやすく命がけで話すかだ。『答弁を差し控える』というのは、やましいから答えられないということではないか。そうであれば、国会議員になるのを差し控えた方がよく、即、議員をやめるべきだ」と述べました。