【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 “ロシア軍 戦略爆撃機から巡航ミサイル発射”

ウクライナ空軍は8日、ロシア軍がイラン製の自爆型無人機7機のほか、対空ミサイルを使って東部のドニプロペトロウシク州やハルキウ州を攻撃し、このうち無人機5機は撃墜したと発表しました。

ハルキウの当局者によりますと、現地ではミサイル攻撃によって集合住宅や車両などが破壊され、けが人がでているということです。

さらにウクライナ空軍は8日朝、ロシア軍が戦略爆撃機から巡航ミサイルを19発発射したと発表し、キーウ州では迎撃した際の破片が落下し、住宅に被害が出たとしています。

首都キーウの当局者はSNSで「敵は79日間の中断のあと戦略爆撃機からの巡航ミサイルによる攻撃を再開した」と投稿し、本格的な冬を迎える中、ロシア軍がミサイルによる攻撃を強化してくることに警戒を強めているとみられます。

ロシア軍は東部を中心に地上でも攻勢を強めていますがアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は7日「ロシア軍は新たに兵力を増強しているが、それと同じペースでウクライナで兵力の損失を受けている可能性がある」と指摘しました。

ウクライナ側の情報をもとに、東部のハルキウ州クピヤンシクやドネツク州のバフムトなどの方面で、先月だけでロシア軍がおよそ1万1000人の人員を失ったとして、消耗戦となっていると分析していますが、ロシア側は長期戦も見据え、犠牲をいとわずに軍事侵攻を続ける構えとみられます。

“各国から新たに表明された支援額 最低に”ドイツの研究機関

ドイツのキール世界経済研究所は、7日、ことし8月から10月に各国から新たに表明されたウクライナへの支援額があわせて21億1千万ユーロ、日本円にしておよそ3270億円にのぼると発表しました。

これは、前の年の同じ時期と比べて87%減っていて、ロシアによる軍事侵攻が始まる前の去年1月下旬以降で最も低くなったということです。

ウクライナへの支援を巡っては、最大の支援国であるアメリカで与野党の主張が対立するなか、バイデン政権は、このままでは、年末までに予算が枯渇するという見通しを示していて、支援の先行きが不透明な状況になっています。

キール世界経済研究所は、今回発表した結果について「この数か月、各国が支援をよりためらっているという印象があることを裏付けるものだ」とした上で「支援がさらに遅れれば、プーチン大統領の立場を明らかに強めることになる」と指摘しています。

プーチン大統領 イランのライシ大統領と会談

ロシアのプーチン大統領は7日、モスクワにイランのライシ大統領を招いて首脳会談を行いました。

会談の冒頭、プーチン大統領は「パレスチナ情勢について意見を交わすことは非常に重要だ」と述べ、ライシ大統領もガザ地区ではイスラエル軍によって大勢の子どもが殺害されているとして「こうした犯罪はアメリカや西側の国々によって支援されている」と述べ、イスラエルを支持するアメリカなどを強く非難しました。

アメリカとの対立を深めているロシアは、同じくアメリカと敵対するイランとの関係を強化していて、ウクライナでの戦闘でイラン製の自爆型の無人機を使用しているほか、イランから弾道ミサイルの購入も検討していると指摘されています。

プーチン大統領 中国と軍事面で連携深める考え強調

プーチン大統領は、モスクワで開かれた投資フォーラムに出席し、中国やインド、トルコなどの企業関係者を前に演説しました。

この中でプーチン大統領は、ことし中国との貿易額が2000億ドルを越えるとの見通しを示したうえで、「中国とはすべての分野で協力する用意がある。軍事技術の分野でもだ」と述べ、欧米による経済制裁が強まる中、中国と経済面だけでなく軍事面でも連携を深めていく考えを強調しました。

ゼレンスキー大統領 SNSに日本語で謝意投稿 日本の追加支援に

日本時間の6日夜、オンラインで開かれたG7=主要7か国の首脳会合で、岸田総理大臣は、日本としてウクライナの復旧・復興などに総額45億ドル規模の追加支援を行っていく意向を表明しました。

これについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、SNSに日本語でメッセージを投稿し、「日本及び岸田首相に感謝します。これは、ウクライナと我が国の経済の復興にとって重要な支援となります」などと謝意を示しました。

一方、ウクライナのコルスンスキー駐日大使は、7日に都内で取材に応じ、この際、シュミハリ首相のメッセージ動画が公開されました。

この中で、シュミハリ首相は「日本とウクライナの関係は特別なレベルの協力関係に達し、互恵的な協力と友好関係をさらに発展させるための新たな地平を開いている」などと述べました。

また、コルスンスキー大使は「冬の困難な時期に国際社会、特にいま日本がエネルギーインフラを支援する取り組みにおいてリーダーシップを発揮する大きな役割を果たしていることは重要だ」と述べ、日本の支援に感謝の意を示しました。