ビジネス
家計の消費支出 減少続く 年末商戦 企業の取り組みは
年末商戦で消費者の財布のひもをどう緩めるのか、企業側はさまざまな取り組みを進めています。
10月家計調査 消費支出2.5%減少 8か月連続で前年下回る
総務省が8日発表したことし10月の家計調査によりますと、2人以上の世帯が消費に使った金額は30万1974円で、物価の変動を除いた実質で去年の同じ月よりも2.5%減りました。
消費への支出が前の年の同じ月を下回るのは8か月連続です。
内訳を見ますと、食料への支出が去年の同じ月よりも4.4%減りました。
トマトやネギといった野菜の生育が遅れて値上がりしたことなどが影響しました。
また、例年より気温の高い日が続いたことから、ストーブや温風ヒーターなどの家庭用耐久財は24.8%減少し、洋服も冬物の衣料品を中心に9%減少しました。
このほか、携帯電話料金を割安なプランに変更する傾向が続いたことで、通信費も2.1%減りました。
一方、半導体不足の緩和で自動車などの販売が好調で、自動車関連の支出は9.8%増加しました。
スーパーでは “値下げ”で消費を喚起
物価の上昇が続く中、消費者の節約志向に応えるにはどうすればいいのか。
東京都や埼玉県などでおよそ60店舗のスーパーを展開する東武ストアでは、ことし8月から毎月、対象となる商品を変えて値下げする取り組みを続けています。
値下げするのは主に食品で、これまでに最も多い月で260種類ほど、少ない月で160種類ほどが対象となっています。
一度に大量の商品を仕入れることで、およそ1%から最大で40%ほどの値下げにつなげているということです。
7日、埼玉県越谷市内にオープンした店では、通常の値下げに加え、新規開店に伴うセールも実施されるとあって、開店前から多くの客が列を作っていました。
会社によりますと、食品の値上がりなどを背景に消費者の買い控えの傾向が続いてきましたが、値下げを始めた8月以降、去年の同じ月と比べた1人当たりの購入点数などに回復傾向が見られるということです。
こうしたことから会社では、12月末までとしていたこの取り組みを、来年夏ごろまで続けることにしています。
買い物客
「食費は家計の中で占める割合が大きく、節約したいので、チラシをみて安いお店を選んでいます」
東武ストア 高橋宏典 日配食品部長
「これから年末のかき入れ時になるので、買い控えなどがないよう、今後も値下げを継続してお客様の家計を応援したい」
化粧品・宝飾品などは好調 背景に外出の機会増加など
一方、新型コロナウイルスが5類に移行してから初めて年末商戦を迎える都内のデパートでは、化粧品やハンドバッグなどの販売が好調となっています。
都内のデパート伊勢丹新宿本店では、新型コロナが5類に移行してから外出の機会が増えたことや、マスクをつける機会が減ったことなどを背景に、化粧品やハンドバッグ、宝飾品などの売り上げが去年の同じ時期に比べ好調だということです。
このうち化粧品は、去年の同じ時期に比べ売り上げが2割ほど増加していて、中でも口紅はおよそ5割増えました。
また、ことし9月に売り場を拡大した香水の販売も好調で、去年の同じ時期に比べおよそ7割売り上げが伸びました。
店を訪れた客
「お金をかけるべきところはかけて、節約とのバランスをとっています。今月はイベントが多いので、バッグや靴など買う物を検討しています」
一方、この店舗では、顧客のニーズを探ろうと、専属のチームを作りSNSや店内で展開するブランドの販売動向の分析を行っています。
特に力を入れているのが、ネット販売を中心に人気が出ているブランドや、シェアが小さくても固定ファンがいるブランドを見つけたり、アピールしたりすることです。
店内に複数設けられた特設の売り場では、これらの商品が期間限定で販売されていて、店ではこうした取り組みを通じ、新たな顧客の来店につなげたいとしています。
伊勢丹新宿本店 クロスMD営業部 バイヤー 崎谷由衣さん
「消費するものというより、自分でお気に入りの一点を長く愛用したいという変化を感じ、金額をあまり気にせず購入する人が増えている。SNSなどの普及でお客様がかなり情報をもっている状況になっているので、私たちも追いつけるように提案していきたい」