高齢者介護サービス 利用者の自己負担の見直し議論 厚労省

介護にかかる費用が増え続ける中、厚生労働省の専門家部会が7日に開かれ、高齢者が介護サービスを受けた際に支払う自己負担を増やすかどうかについて、議論が行われました。厚生労働省は今後、予算編成の過程で慎重に検討を進め、年内にも方針を固めることにしています。

現在、介護サービスを利用した際の自己負担の割合は原則1割ですが、年収が単身世帯で280万円以上の人は2割、さらに340万円以上の人は3割と、支払いの能力に応じて段階的に多く自己負担する仕組みになっています。

しかし、急速な高齢化に伴い、介護にかかる費用は増え続けていて、サービスを利用していない現役世代が支払う介護保険料や税金などの公費も増加の一途をたどっています。

こうした中、7日に開かれた厚生労働省の専門家部会で、介護サービスを受けた際に、現在1割を自己負担している利用者の中から、2割負担してもらう人を増やすかどうか議論が行われ、厚生労働省は2割負担の対象を増やした場合の対象人数や、見込まれる費用の削減効果を粗い試算として示しました。

それによりますと、例えば、いずれも単身世帯で、2割負担の下限を、
▽現在の280万円から10万円下げ、年収270万円以上の人とした場合、対象は8万人増え、削減効果は90億円
また、
▽年金受給の平均値の年収190万円以上の人とした場合には、対象は75万人増え、削減効果は800億円になるとしています。

出席した委員からは「保険財政の現状を考えると、利用者の負担増はやむをえない」といった意見が出た一方、「物価高などで高齢者の生活が非常に厳しい中で、負担を増やせば必要な介護サービスを受けなくなる可能性があり、そうした事態は回避すべきだ」といった意見も出ていました。

厚生労働省は、この自己負担の議論については、介護事業者に支払う介護報酬の改定の議論と同時に進める必要があるとしていて、今後、予算編成の過程で慎重に検討を進め、年内にも方針を固めることにしています。