北朝鮮軍の韓国船乗組員射殺 “前政権で情報隠蔽” 韓国監査院

3年前に韓国の漁業指導船の乗組員が北朝鮮軍に射殺された事件で、韓国で行政監査を担う監査院が当時の前政権の対応を調べて結果を公表しました。救助に必要な措置を怠ったうえ、情報隠蔽などの不正があったと結論づけています。

3年前に朝鮮半島西側の黄海で北朝鮮軍が韓国の漁業指導船乗組員を射殺した事件で、韓国の海洋警察は当初、乗組員がみずから北朝鮮に渡ろうとしたと説明しました。

ところがユン・ソンニョル(尹錫悦)政権の発足後、海洋警察は説明に根拠が見つからなかったと判断を覆し、韓国の監査院が当時のムン・ジェイン(文在寅)政権下で対応した関係機関の監査を進め、7日、結果を公表しました。

監査を受けたのは海洋警察のほか、大統領府国家安保室、国防省、統一省などで、北朝鮮側の海域で乗組員が死亡するまでの間、各機関が救助に必要な措置を怠ったと指摘しています。

また、乗組員の死亡がわかったあと、国防省が情報を隠蔽したとしているほか、海洋警察が十分な根拠に基づかず、乗組員がみずから北朝鮮に渡ろうとしたと発表したと、結論づけました。

この事件では前政権の判断にあわなかった情報の削除に関与したなどとして、検察がいずれも当時の国家安保室長と国防相、情報機関トップを捜査し、裁判が続いています。