イスラエル軍 ガザ地区南部の東側境界から侵攻か 衛星画像分析

12月から始まったガザ地区南部への地上侵攻で、イスラエル軍は南部の東側の境界から部隊を進めたとみられることが衛星画像の分析から分かりました。

イスラエル軍は、ガザ地区での軍事作戦を12月1日に再開し、2日から南部への地上侵攻を始めたことを明らかにしていて、6日には南部の中心都市ハンユニスなどでハマスの防衛線を突破したとしています。

軍事作戦再開前11月30日の衛星画像と比較

NHKは、人工衛星を運用するアメリカの企業プラネット社が、6日にガザ地区南部のハンユニスから北側にかけての地域を撮影した衛星画像を入手し、イスラエル軍が軍事作戦を再開する前の11月30日の画像と比較しました。

ガザ地区南部 東側の道路は

このうち、南部の東側の道路は、
▽11月30日の時点で、両脇に樹木や畑がありましたが、
▽12月6日の画像では周辺にさら地が広がり、その幅は最大250メートル程度に上っています。

さら地となった道路 約2.5キロにわたり確認

こうした、周辺がさら地となった道路は、南部の東側のイスラエルとの境界付近からおよそ2.5キロにわたって確認でき、ガザ地区を南北に貫くサラハディン通りにつながっています。

イスラエル軍が、南部の東側の境界から進軍した痕跡とみられます。

6日 建物から黒煙上がり 建物があった場所がさら地に

また、6日の画像では、その地点から、さらに800メートルほど南にある道路の周辺で、建物から黒煙が上がっている様子が確認できるほか、農業用ハウスのような建物が数棟なくなり、さら地になっているのも分かります。

ハンユニス中心部に迫るエリアでは

さらに南側、ハンユニス中心部に迫るエリアには車両のようなものが集まり、その周りでは土塁が築かれた場所が、少なくとも数か所、確認できます。

戦闘開始から約2か月でガザ地区の建物 約3割が損壊か

一方、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まった、ことし10月上旬から12月4日までに、ガザ地区の建物の3割程度が損壊したとする分析をアメリカの研究者が明らかにしました。

オレゴン州立大学のジャモン・バンデンホーク准教授とニューヨーク市立大学のコーリー・シェア氏は、地球観測衛星「センチネル1」の観測データから、ガザ地区の建物の損壊状況を分析しました。

それによりますと、12月4日までのおよそ2か月で、ガザ地区の面積のおよそ6分の1の範囲で建物に何らかの被害が出ていると推定しています。

この範囲にある建物は、およそ8万2000棟から10万5000棟と推計され、ガザ地区のすべての建物の28%から36%に相当するということです。

被害は、ガザ地区北部に集中しているものの、南部にも空爆などの被害が出ていて、12月1日の戦闘の再開後、南部の中心都市ハンユニスなどで被害が拡大しているのが伺えます。

建物への被害をめぐり、OCHA=国連人道問題調整事務所は、12月3日時点の地元当局の情報として、住宅5万棟以上が破壊され、25万棟以上が一部損壊したとしています。