日銀 氷見野副総裁 賃金と物価の好循環 “変化が着実に進む”

日銀の氷見野副総裁は、6日大分市で開かれた地元の経済団体との懇談会で、賃金と物価の好循環について「変化が着実に進んでいる」と述べたうえで、今の大規模な金融緩和策の転換の時期や進め方を適切に判断していく考えを示しました。

懇談会の中で氷見野副総裁は、企業が原材料価格の上昇分などを商品の価格に転嫁し、それに伴って賃金が上昇する賃金と物価の好循環について「変化は着実に進んでいるようにうかがわれる。統計的な確度に不十分な部分はあるものの賃金から物価への波及もいくぶん戻ってきているように見える」と述べました。

そのうえで、今の大規模な金融緩和策を転換するいわゆる出口戦略については「一番気をつけなければならないのは、出口のタイミングや進め方を適切に判断することだ。そこを間違わなければ賃金と物価の好循環のメリットは、幅広い家計と企業に及ぶだろう」と述べました。

一方、氷見野副総裁は、このあと行われた記者会見で、マイナス金利の解除を含めた政策転換が年内や年明けに行われる可能性はあるのかと問われたのに対しては「いつごろ見極められるのかという特定の予想は私は現在持っていない。賃金と物価の好循環だけでも複雑な現象なので、引き続きしっかり見極める努力を続けていくことが大事だ」と述べるにとどめました。