オスプレイ墜落 米軍 “生存見込まれず” 遺体収容活動に移行

鹿児島県の屋久島沖でアメリカ空軍の輸送機オスプレイが墜落した事故で、アメリカ軍は乗組員の生存が見込まれないとして、これまでの救助活動から遺体の収容活動に移行したと発表しました。

アメリカ空軍の輸送機CV22オスプレイは乗組員8人を乗せて、先月29日、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。

アメリカ空軍特殊作戦司令部は5日、声明を発表し、アメリカ軍はこれまでの捜索・救難活動から捜索・収容活動に移行したと明らかにし、今後は行方不明になっている乗組員の遺体の収容と機体の回収に力を入れるとしています。

理由については乗組員の生存が見込まれないためだとしています。

声明によりますと、乗組員8人のうち、これまでに3人の遺体が収容されたほか、海中で別の3人が遺体で見つかっていて、収容作業が進められていますが、残る2人はまだ見つかっていません。

アメリカ空軍は声明の中で、「われわれは自衛隊や海上保安庁、屋久島のボランティアの人たちが捜索活動などを支援してくれていることに心から感謝したい」としています。

乗員全員の名前発表

また、5日の声明では、乗員8人の名前などを明らかにしました。いずれも東京の横田基地に所属する
▼ジェイコブ・ガリハー3等軍曹(24)
▼ジェフリー・ホーネマン少佐(32)
▼ルーク・アンラス少佐(34)
▼タレル・ブレイマン大尉(32)
▼ジェイク・ターネジ3等軍曹(25)
▼ブライアン・ジョンソン上等兵(32)
それに沖縄の嘉手納基地に所属する
▼エリック・スペンドラブ少佐(36)
▼ザッカリー・ラヴォイ2等軍曹(33)です。

バイデン大統領「国全体が悲劇的な犠牲を悼んでいる」

オスプレイの墜落事故についてアメリカのバイデン大統領は5日、声明を発表し、「先週、定期的な訓練中に軍用機が墜落し、8人の兵士が犠牲になったことを知り、心を痛めてきた。それ以来、捜索と救助に集中してきたが、1週間にわたる大規模な活動のあと、きょう終了した。われわれの国全体がこの悲劇的な犠牲を悼んでいる」としました。

また、「捜索と救助、それに現在進められている収容活動を支援してくれている日本政府に感謝している」と謝意を示しました。

米軍関係者 船で出港

鹿児島県屋久島町の安房港では午前7時半ごろアメリカ軍の関係者が到着し、チャーターした漁船にボンベなどを積み込み、午前8時ごろにゴムボートとともに出発しました。

漁船の乗組員によりますと、機体の主要部分の残骸がある現場海域に向かうと見られるということです。

地元漁協 捜索活動のため漁を自粛 “補償を”

アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」が鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故で、地元の漁業協同組合の組合長が取材に応じ、行方不明の乗員の捜索活動のため漁を自粛している組合員もいるとしたうえで、この間の損失などについて補償を求める考えを示すとともに、アメリカ軍に対して適切な情報提供を求めました。

アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」が鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故では、乗員の捜索活動などが続いていることから、屋久島漁協では墜落現場付近で旬のシマアジ漁を自粛する組合員もいて、防衛省が経済的な補填(ほてん)を検討しています。

これについて、屋久島漁協の羽生隆行組合長が取材に応じ、「漁獲量だけでなく、捜索で艦艇などが出ている中で、自分たちの船が邪魔になるのではと不安になる組合員もいる。国から提案があったとおり、補償はあるべきものだ」と述べ、漁を自粛している期間の損失などについて、補償を求めていく考えを示しました。

また、アメリカ軍の対応について、「コミュニケーションが取れておらず、対応には不満や不信感があった。互いの意思の疎通が必要だということで協議の場が実現したので、今後はきちんと対応してもらいたい」と述べ、アメリカ軍に対して適切な情報提供を求めました。