米軍統治下の奄美大島 カラー映像発見 大島紬の製造工程を撮影

戦後、アメリカ軍に統治されていた鹿児島県の奄美大島で、地元の主要産業だった織物、大島紬の製造工程が撮影された貴重なカラー映像がアメリカ ニューヨーク州で見つかりました。専門家は「島の経済を支えた大島紬の製造工程が動画で残され、決定的な希少価値がある」と評価しています。

今回、発見されたのは、アメリカ軍の統治下にあった1951年から日本復帰の前の年の52年にかけて、奄美大島に滞在していた文化人類学者のダグラス・ハリング氏が撮影した映像です。

「忘れられた島奄美大島」というタイトルで始まり、合わせて30分余りあります。

白黒の映像に加え、当時は珍しいカラーでも撮影されていて、地元の主要産業だった大島紬の製造工程が順を追って記録されています。

この映像は鹿児島大学などの調査によって、ハリング氏が在籍したアメリカ ニューヨーク州の大学で発見されました。

映像には絹糸を泥で染める「泥染め」と呼ばれる作業や、その泥を川で洗い流す様子、それに、染め上がった糸を巻き取る様子が映されています。

さらに、織り機を使ってデザインどおりに反物を仕上げていく作業も記録されています。

奄美の近現代史に詳しい志學館大学の原口泉教授は「大島紬は奄美の人たちの誇りで、経済を支えるものだった。その製造工程がカラーの動画で残され、大島紬が当時、奄美の宝だと評価されていたのだと思う。日本復帰から70年がたった今、動画があることは決定的な希少価値がある」と話しています。