「公益通報者保護制度」対応している企業 2割以下にとどまる

中古車販売会社「ビッグモーター」の保険金の不正請求問題でも体制の不備が指摘された公益通報者保護制度について、民間の信用調査会社が全国2万7000社余りの企業を対象にアンケート調査を行ったところ、「対応している」と答えた企業が2割以下にとどまっていることがわかりました。

去年6月に改正された公益通報者保護法では、通報窓口の設置や適切に対応するための人員や体制の整備などを、従業員が300人を超える企業に対して義務づけ、300人以下の企業には努力義務としています。

制度がどこまで浸透しているか調べるため、帝国データバンクがことし10月に全国の2万7000社余りを対象に調査を行い、このうち、およそ1万1500社から回答を得ました。

その結果、改正された法律について、
▽「内容を理解し、対応している」と答えた企業は8.8%
▽「ある程度理解し、対応している」とした企業は10.9%で、
「対応している」のは合わせて19.7%にとどまっていました。

通報窓口の設置などが法律で義務づけられている、規模の大きい企業でも、
▽従業員が301人から1000人の企業は57.4%
▽1000人を超える企業では70%と、
対応が十分に進んでいませんでした。

帝国データバンクは「自浄作用がある企業として信用を高めるうえでも、公益通報制度の理解は重要で、消費者庁や自治体には積極的な情報提供や啓蒙活動が求められる」としています。

消費者庁「内部通報制度」の情報まとめたサイト公開

公益通報者保護制度への理解や対応が十分に進んでいないことを受け、消費者庁では、内部通報制度を設ける事業者と通報する従業員の双方に向けた情報をまとめたウェブサイトを新たに公開しました。

「はじめての公益通報者保護法」というウェブサイトには、
▽制度の概要や使い方をまとめた動画のほか
▽内部通報窓口の担当者の研修に使ってもらえるよう、専門家が注意点などを説明する動画
それに、
▽社内規定の案や、通報を受けた時に記入する受付表のひな型など、
社内で制度を作る際に役立つ資料がまとめられています。

消費者庁は「忙しい人でも見やすい動画や、制度を作ろうとする際に使いやすい資料を『内部通報制度導入支援キット』としてまとめているので、積極的に活用してほしい」としています。