生活保護費引き下げで賠償判決“厚労相発言撤回と上告断念を”

生活保護費が段階的に引き下げられたことをめぐり、名古屋高等裁判所が引き下げを取り消し賠償を命じる判決を言い渡したことについて、原告などの団体が武見厚生労働大臣の発言の撤回と上告の断念を求める要請書を国に提出しました。

生活保護の支給額を国が2013年から段階的に引き下げたことに対し、愛知県内の受給者が国に賠償などを求めていた裁判で名古屋高等裁判所は先月30日、引き下げを取り消すとともに国に賠償を命じました。

武見厚生労働大臣は、翌日の記者会見で「当時は特に九州の一部の地域などで生活保護制度が極めて好ましくない形で悪用されているケースが多々あり、窓口の職員などが大変深刻な脅威の元にさらされることなどが多々起きていた」と発言していました。

これに対し全国で同様の裁判を起こしている原告などで作る団体は、大臣の発言は具体的な根拠はなく生活保護制度に対する悪印象を振りまくもので、仮にそのようなケースがあったとしても生活保護基準の引き下げを正当化する理由となりえないとして発言の撤回と上告の断念を求めています。

東京で提訴している原告の50代の男性は「名古屋高裁で勝訴したからといって手綱を緩めることなく、原告側の主張を真摯(しんし)に受け止めてもらうため取り組んでいきたい」と話していました。