高齢者など賃貸住宅の入居支援 国の検討会が対策案とりまとめ

高齢者や障害者などが賃貸住宅への入居を断られるケースがあるとして支援のありかたを議論している国の検討会は、住まいの確保から入居後のサポートまでを一貫して行う枠組みの検討など、大家が家を貸しやすくする環境の整備を進めるべきだとする案をとりまとめました。

高齢者や障害者をめぐっては、孤立死にともなう遺品の処分の負担や家賃の支払いへの不安などから、大家が拒否感を示したり賃貸住宅への入居を断られたりするケースがあり、住まいの確保が課題となっています。

国土交通省と厚生労働省、それに法務省は、高齢者や障害者、ひとり親世帯、外国人などを「住宅確保要配慮者」と位置づけ、専門家による検討会を立ち上げて支援の在り方を議論し、5日、とりまとめの案が示されました。

この中で、
▽都道府県が指定する「居住支援法人」が入居後の見守りなどサポートも行う住宅の普及や、
▽身寄りがない人でも家賃債務保証を活用できる方法を検討するなど、家を貸しやすい環境の整備が必要だとしています。

また、「居住支援法人」への相談件数が増える一方、およそ半数で事業が赤字になっているとして、国による経済的な支援のあり方や事業を継続するためのモデルの構築を検討するべきだとしています。

さらに、国に対しては、これらの具体的な見直しに向け、必要な検討を行うよう求めています。

国土交通省などは、今後とりまとめ案へのパブリックコメントで意見を求めたうえで、対策を進めたいとしています。

検討会の座長を務めた東京大学の大月敏雄教授は「建物として住宅を確保することと入居者の支援を実装することの両方がなければ効果は出ず、国土交通省や厚生労働省など行政が連携して取り組んでいくことが重要だ」と話しています。