松野官房長官 自身へのキックバック言及避ける 政治資金問題

自民党安倍派をめぐる政治資金の問題で、松野官房長官は、5日の記者会見でも自身がパーティー券の販売収入のキックバックを受けていたのか問われましたが、派閥で必要な対応が行われるとして、重ねて言及を避けました。

自民党の派閥の政治資金をめぐる問題で、最大派閥の安倍派「清和政策研究会」では、パーティー券の販売ノルマを超えて集めた収入のキックバックを受けていた所属議員が数十人規模に上るとみられています。

安倍派幹部で、事務総長経験もある松野官房長官は閣議のあとの記者会見で、自身もキックバックを受けていたか問われ「この場は政府の立場として答えているという認識だ。今後、それぞれの団体で事実関係を確認し必要な対応がなされると考えている」と述べ、重ねて具体的な言及を避けました。

また、記者団が「安倍派の事務総長経験者に検察が事情聴取を検討しているという報道がある」として事実関係をただしたのに対し、「捜査機関の活動内容などに関することで、答えは控えたい」と述べました。

自民 「派閥の事務総長」とは?

自民党の派閥の「事務総長」は、各派閥に1人ずつ置かれ、閣僚や党幹部の経験者などベテラン議員が務めるのが慣例です。派閥の運営を切り盛りする役割を担い、トップの会長とともに人事などの要望を行うほか、各派閥の事務総長が集まって情報交換を行うこともあります。

最大派閥・安倍派の事務総長は
◇去年8月から高木国会対策委員長が務めています。
◇前任は西村経済産業大臣で、おととし10月から去年8月まで
◇さらにその前は、松野官房長官が2019年9月からおととし10月まで務めました。

《自民 関係者の反応》

安倍派事務総長 高木氏 検察が事情聴取検討「存じ上げない」

自民党安倍派の事務総長を務める高木国会対策委員長は、記者団が「安倍派の事務総長経験者に検察が事情聴取を検討しているとの報道がある」と指摘したのに対し「存じ上げない」と述べました。

また、聴取を要請された場合に応じるかを問われたのに対し「まだ全くそういう話はない。仮定の話への回答は控える」と述べました。

過去に安倍派の事務総長 西村経産相「適正に処理」

過去に自民党安倍派の事務総長を務めていた西村経済産業大臣は、5日の閣議のあとの会見で「私はいま政府の立場にあり、派閥全体を管理する立場にはない。まずは派閥で精査しているということなので、しっかりと精査をしてもらうことが大事だ。それを踏まえて適正に対応するということだと思う」と述べました。

その上で、自身の政治資金については「いろいろ確認もしているが、秘書からはすべて法律にのっとって適正に処理をしていると報告を受けている。報告書を見ていただければ、そこにすべて記載をしていると承知している」と述べました。

安倍派 事務総長経験者が衆院本会議後に会談

松野官房長官と西村経済産業大臣、それに自民党の高木国会対策委員長は、5日の衆議院本会議のあと、およそ10分間、国会内で会談しました。3人はいずれも自民党安倍派の幹部で、高木氏は現在、事務総長を務め、松野氏と西村氏も事務総長を務めた経験があります。会談では、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題への対応などについて意見を交わしたものとみられます。

安倍派 鈴木総務相 “キックバック 会見でないと答えた”

自民党安倍派に所属する鈴木総務大臣は、参議院総務委員会で、野党からキックバックを受け取っていたか問われたのに対し、「私自身に関しては、今月1日の記者会見で『ありません』とお答えしたところだ。派閥に関しては、座長の塩谷氏が『これから事実関係を精査する』とコメントしていると承知している。今後、事実確認し適切に対応するものと認識している」と述べました。

萩生田政調会長「慎重に事実関係を確認し適切に対応したい」

自民党安倍派の幹部を務める萩生田政務調査会長は、記者団に対し「すでに刑事告発されており、派閥で慎重に事実関係を確認して、適切に対応すると承知している」と述べました。

また、派閥の政治資金パーティーで得た収入のキックバックを受けたことがあるかについては「私自身の政治団体は、政治資金規正法にのっとって適切に処理していると認識しているが、慎重に事実関係を確認して適切に対応していきたい」と述べました。

世耕参院幹事長「慎重に調査・確認し適切に対応」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「事実関係を慎重に調査・確認することが重要だと思うが、事案の概要がある程度、把握できて問題点も明らかになってくれば、党が中心になって再発防止の取り組みを進めていく必要がある」と述べました。

また「キックバックを受け取ったことがあるか」と問われたのに対し「刑事告発を受けている案件であり、政策集団全体の問題にもなっている。事実関係を慎重に調査・確認し適切に対応していきたい」と述べました。

安倍派 堀井内閣府副大臣「事実確認を行っている最中」

自民党安倍派に所属する堀井学内閣府副大臣は、国会内で記者団から「派閥からキックバックを受けたことがあるか」と問われ「事務所で精査している。事実確認をしっかり行っている最中なので確認できしだい報告したい」と述べました。

二階派 小泉法相「私自身の収支報告書は適正に処理」

自民党二階派に所属する小泉法務大臣は、記者団に対し「志帥会を含め、個々の政治団体の状況について、法務大臣として答えることは差し控えたい。私自身の収支報告書は法令にのっとって適正に処理をしていると認識している」と述べました。

茂木幹事長“問題点明らかになれば再発防止図る”

自民党の茂木幹事長と高木国会対策委員長、公明党の石井幹事長と佐藤国会対策委員長が5日、国会内で会談しました。

この中で茂木氏は、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「大変ご心配をおかけしている」と述べ、問題点が明らかになれば党として再発防止を図る考えを伝えました。

これに対し石井氏は「国民の反応は非常に厳しいので、しっかり対応してほしい」と求めました。

そして両者は、会期が残り1週間余りとなった終盤国会に緊張感をもってあたることを確認しました。

茂木派「平成研究会」 新藤経済再生相“問題あるとは承知せず”

自民党茂木派「平成研究会」の事務総長を務める新藤経済再生担当大臣は記者会見で、記者団から「派閥の政治資金パーティーで得た収入を議員にキックバックすることはあったか」と問われたのに対し、「『平成研究会』は報道で指摘されているような問題があるとは承知していない。事務方からは、収支は政治資金規正法にのっとって報告していると聞いている」と述べました。

茂木派 松村国家公安委員長“キックバック ないと思う”

自民党茂木派に所属する松村国家公安委員長は、記者会見で派閥の政治資金パーティーで得た収入のキックバックを受けたことがあるか質問されたのに対し、「国務大臣としてコメントは差し控えたいが、私の団体では、ないと思っている」と述べました。

森山総務会長「岸田首相 責任は果たしている」

自民党の森山総務会長は、記者会見で派閥の政治資金をめぐる問題の責任が党にあるか、派閥にあるか見解を問われ、「派閥の問題、党の問題という区分はなかなか難しい」と述べました。

また「岸田総理大臣は茂木幹事長に実態を把握するよう指示しており、総裁としての責任は果たしていると理解している」と述べました。

《他党の反応》

立民 泉代表「今回の状況を一掃させなければならない」

立憲民主党の泉代表は党の会合で「本当にひどい話だ。どの政党もルールを守り、互いに競い合っていることが前提になっているはずだが、どうやら自民党はルールを守っていない。自民党や派閥の幹部が説明しなければならない大変、重要な問題で、今回の状況を一掃させなければならない」と述べました。

立民 岡田幹事長「事案の広がり リクルート事件に匹敵か」

立憲民主党の岡田幹事長は記者会見で「事案の広がりを見るとリクルート事件に匹敵するのではないか。自民党は自浄作用を発揮しなければ国民から否定されることになりかねない状況だ」と述べました。

その上で「今週8日の集中審議は非常に大きな機会であり、しっかりと説明を求めていく。検察もしっかり調べてもらいたい」と述べました。

立民 安住国対委員長「この国会中に明らかにしてほしい」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「キックバックの問題は常態化しているとなると、かなり悪質性がある。捜査に関わる話なので慎重に対応したいが、現時点で全く全容が明らかになってない。派閥と党は関係ないような言いぶりは通用せず、自民党としてわかる範囲で派閥から報告を受け、この国会中に明らかにしてほしい」と述べました。

その上で、今の国会での内閣不信任決議案の提出について、「出す時は本気で出さなければならず、政治的にどう有効なのか見極めたい。泉代表とも考えながら対応する」と述べました。

立民 小沢衆院議員「国会終わったら選挙もヘチマもなくなる」

立憲民主党の小沢一郎・衆議院議員は、記者団に対し「どこまで検察が捜査するかわからないが、これだけ報道が出ているのだから何もやらないわけにはいかないだろう。捜査の状況を見ないと今後の政治判断はできない。国会が終わったら選挙もヘチマもなくなり、岸田総理大臣をめぐる政治情勢が大変になる可能性もある」と述べました。

公明 山口代表「国民の不信感招かないよう努力すべき」

公明党の山口代表は、記者会見で「検察の捜査過程であり、事案の解明を待ちたいが、国民の関心が高いので、自民党自身がきちんと説明し、政治資金規正法の趣旨にのっとり適切な処理をして、信頼を取り戻してもらいたい。1つの派閥に限らず自民党全体にいろいろな指摘があるので、国民の不信感を招かないよう努力すべきだ」と述べました。

国民 玉木代表「政治資金規正法違反の罰則強化も検討すべき」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「自由に使える金が捻出されているとしたら問題だ。今回の事案が防げなかったのは、収支報告書に記載しなくても『後で訂正すればいい』と、軽微な罪のように思われていることも理由の1つで、政治資金規正法違反の罰則の強化も検討すべきだ」と述べました。