大谷翔平の去就に注目 大リーグ ウインターミーティング始まる

各球団の関係者や選手の代理人が集まり移籍交渉などが行われる大リーグのウインターミーティングが4日から始まりました。エンジェルスからFA=フリーエージェントとなっている大谷翔平選手の動向をうかがいながら、トレード成立や大型契約が発表されるなど、すでに移籍市場は動き始めています。

大リーグのウインターミーティングは全30球団の監督やゼネラルマネージャー、それに選手の代理人などが集まり次のシーズンに向けた移籍交渉の山場と位置づけられている会合です。

毎年12月に開かれていて、ことしはテネシー州ナッシュビルのリゾートホテルで4日から7日までの4日間の日程で行われています。

初日に行われた各チームの監督会見のうち、大谷選手の去就が来シーズンのチーム編成に大きく関わるエンジェルスのワシントン新監督の会見にはひときわ多くの報道陣が集まりました。

ただ、ワシントン監督は大谷選手をどの程度意識しているかという質問に対して「今はまだ何も明るみに出したくないので、彼について言えることはない」と答えるなど、最後まで慎重な姿勢を崩さず大谷選手について言及することはありませんでした。

現時点で大谷選手サイドから具体的な発表はありませんが、アメリカメディアが総額5億ドル、日本円でおよそ734億円を優に超えるオファーを複数受けていると報じるなど、メディアも各球団の関係者もことしの移籍市場全体に影響を及ぼす大谷選手の動向に関心を寄せています。

一方で、マリナーズとブレーブスが合わせて選手5人が絡むトレードを成立させたほか、ブルワーズが大リーグデビュー前の19歳の若手選手と8年総額8200万ドルの大型契約を発表するなど、すでに移籍市場は動き始めています。

エンジェルスGM「プランABCDを用意しなければ」

ウインターミーティングでは監督会見のような大リーグ機構が設定したいわゆる「公式行事」のほかに、各球団の担当記者などを対象にした取材機会が非公式に設けられることがあります。

4日は、エンジェルスのミナシアンゼネラルマネージャーがホテルの自室に担当記者を集めたうえでおよそ40分間にわたって取材に応じました。

この中でミナシアンゼネラルマネージャーは「この部屋のドアを開けた時からみんなが勝ちたいという気持ちを持っていた。私たちは何かをしなければならないし、すでに多くの選手についていろいろなチームと話を進めている」と話し、来シーズンに向けた補強を積極的に進めていると強調しました。

大谷選手の去就については「特定の選手のことは話さない」とこれまで繰り返してきた姿勢を崩しませんでしたが、「ここまで多くの時間を費やして千差万別のシナリオを考えてきたわけで、どんな場合でもうまく合わせなければいけない。1人のFA選手のことを考えるのではなく、グループ全体のことを考えている。プランA、プランB、プランC、プランDを用意しなければいけないんだ」と話し、大谷選手が他球団へ移籍を決めた場合のチーム編成についても考えをめぐらせている様子でした。

ウインターミーティング 交渉の方法は

ウインターミーティングの期間中にホテル内で行われる交渉はもちろんベールに包まれていて、その内側を知るすべはありませんが、一般的に各球団はリビングルームを備えたスイートルームなどにこもって、それぞれの部屋を行き来しながら朝から夜まで交渉を続けています。

今回の会場となっているホテルによりますと、220室あるスイートルームはすべて満室で、部屋の数が足りないために一般の客室のベッドを取り払い、代わりに机といすを持ち込んで臨時の会議室のようにして使っている球団もあるということです。

代理人のグループなども同じホテルに滞在しているケースが一般的ですが、中にはメディアに動きを探られないよう近隣のホテルに滞在してオンラインなどで面談を行うケースもあり、その方法は多種多様です。

移籍市場に積極的に動いている球団の幹部は食事の時間もままならないケースもあるということで、期間中はずっとホテルのルームサービスで食事をとる人もいます。

大リーグを10年取材し、ウインターミーティングもたびたび取材に訪れているというLAタイムズのホルヘ・カスティーヨ記者は「私たちはチームが借りているスイートルームに招かれて交渉の状況を聞いたり、監督や代理人がロビーにいたら気軽に話しかけたりすることもできる。この期間に大きなトレードが行われることが多いので、初日から3、4日は気が抜けない」と話していました。