【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月5日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“司令官への連絡で乱れ” ウクライナメディア

ウクライナのメディア「ウクラインスカ・プラウダ」は4日、ゼレンスキー大統領が、軍のザルジニー総司令官を介さずに直接、一部の司令官とやりとりしていると、大統領の側近の話として伝えました。

それによりますと、ゼレンスキー大統領は、空軍や陸軍の司令官と直接連絡をとっているということで、これによって軍の指揮系統が乱れ、ザルジニー総司令官が軍全体を統率する障壁となっているとの見方を伝えています。

ザルジニー総司令官は先月、メディアとのインタビューで、戦況が「こう着状態に陥る段階に達している」との認識を示し、これに対してゼレンスキー大統領が「こう着状態ではない」と否定したことなどで、不協和音が生じているとも指摘されています。

ロシア報道官「プーチン氏 6日に両国訪問」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は5日、複数のメディアが伝えた、プーチン大統領のUAE=アラブ首長国連邦とサウジアラビアへの訪問予定について、「すべてが6日に行われるだろう」と述べ、大統領が6日中に両国を訪問すると明らかにしました。

そのうえで「2国間関係や国際的な問題、パレスチナとイスラエルによる紛争を含む地域の問題について意見が交わされるだろう」と述べました。

さらに7日には、プーチン大統領がイランのライシ大統領をモスクワに招いて会談すると明らかにし、プーチン大統領は外交を活発化させようとしています。

米紙 “ウ軍の反攻失敗 米との意見相違が背景”

ウクライナ軍がことし6月に開始した領土奪還を目指した反転攻勢から半年となるのにあわせて、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは4日、ウクライナやアメリカの政府や軍の関係者の話をもとにした記事を掲載し、作戦は失敗していると伝えたうえで、進め方などをめぐる両国の意見の相違などが背景にあると指摘しています。

具体的には、アメリカ側は南部ザポリージャ州に集中させた戦力をアゾフ海に向けて南下させてロシアの補給路を断つよう主張し、早ければ60日から90日で実行できると分析していたとしています。

しかし、ウクライナ側は1つのルートだけで進軍すれば、ほかの地域でロシア側が攻勢に出てくるとして、3方面での作戦を主張したということです。

ウクライナ軍が半年間で進むことができた距離は、およそ20キロにとどまり、100キロ以上先に位置するアゾフ海には到達できていないとしています。

また、アメリカ側が、ロシア軍が防御陣地を固めるのを防ぐため4月中旬に作戦を開始するよう求めたのに対して、ウクライナ側は、装備や兵士の訓練が整っていないとしてためらうなど、作戦の開始時期を巡っても意見が対立したとしています。

英国防省 ロシア側の死者7万人と推計

イギリス国防省は4日、去年軍事侵攻が始まってから先月までのロシア側の死傷者の推計を発表し、民間軍事会社ワグネルに所属した戦闘員も含めて死者は7万人、けが人は22万から28万人にのぼるとの見方を示しました。

ロシアは兵士の犠牲もいとわない激しい攻撃を続けていて、4日付けのワシントン・ポストの記事でも、ウクライナや西側諸国はこうしたロシアの姿勢を過少評価していたと伝えています。

米 “ウクライナ支援 議会承認なければ年末までに予算枯渇”

アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は4日、記者会見でロシアによる侵攻が続くウクライナに対する軍事支援の予算について、議会による承認がなければ、年末までに枯渇するという見通しを明らかにしました。

そのうえで、予算がなければ支援を続けることはできないとして「ウクライナの自由を求める戦いのため、世界の50か国が一致して行う支援を続けるか、それともプーチン大統領を勝利させるかは議会にかかっている」と述べて、議会に対して予算案の承認を急ぐよう求めました。

バイデン政権はことし10月にウクライナやイスラエルに対する支援などとして、連邦議会に対してあわせて1000億ドル以上の緊急予算を議会に要請しましたが、ウクライナ支援については議会下院で多数派の野党・共和党の一部が反対していて、承認される見通しは立っていません。

プーチン大統領 UAEとサウジアラビア訪問か

ロシアのプーチン大統領に近い複数のオンラインメディアは4日、ウシャコフ大統領補佐官の話として、プーチン大統領が今週、UAEとサウジアラビアを訪問することになったと伝えました。

ウクライナへの軍事侵攻後、プーチン大統領が旧ソビエト諸国以外を訪問するのは珍しく、ことし10月の中国への訪問以来となります。

プーチン大統領に対してはICC=国際刑事裁判所が逮捕状を出していますが、UAEとサウジアラビアはICCの加盟国ではなく、逮捕や引き渡しの請求に応じる義務はありません。

ロシアを含むこれらの3か国はOPECプラスの加盟国で、11月30日の会合でいずれも原油価格を下支えするため、自主的な追加減産を発表しています。

訪問では、エネルギー分野での協力などについて話し合うものとみられますが、その動向に関心が集まりそうです。

またプーチン大統領は4日、首都モスクワで、新たに着任したドイツやイギリスなどの21人の大使から信任状を受け取る式典に出席し、去年9月に起きたロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン、ノルドストリームの爆発について言及しました。

この中で「ロシアはガスなどのエネルギーを手ごろな価格で確実にドイツに供給してきたが、この協力関係はノルドストリームの爆発などによって損なわれた」などと述べ、爆発へのロシアの関与を改めて否定しました。