中国駐在の垂大使 離任前会見 “首脳会談の重要性増している”

中国に駐在する垂秀夫大使が離任を前に会見を行い、今後の日中関係について安定化をはかるため、あらゆるレベルでの交流の必要性を強調したうえで「中国が変化していく中でそれに応じた対中政策を考えていく必要がある」として、首脳どうしの会談の重要性が増していると述べました。

垂大使は、昭和60年に外務省に入り、中国語を専門とするいわゆる「チャイナスクール」の出身として、中国・モンゴル課長や官房長などを歴任し、およそ3年前から中国大使を務めてきました。

離任するのを前に4日、北京の日本大使館で会見し、ことし3月に北京で拘束された大手製薬会社、アステラス製薬の日本人男性と先月初めて面会したことについて「任期中に結果的に助けることができなかったことについてのおわびを伝える必要があると感じた」と述べました。

また今後の日中関係については「安定化するために一番大事なものは、日中間の意思疎通だと思う」と述べ、両国間のあらゆるレベルでの意思疎通が必要だと強調しました。

そのうえで、習近平国家主席への権力の集中が進むなかで「中国が大きく変わってきている。それに応じたつきあい方、対中政策を考えていく必要がある」と述べ、特に首脳どうしの会談の重要性が増しているとの見方を示しました。

そして先月の日中首脳会談で、日本側が東京電力福島第一原発の処理水放出をめぐり、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を改めて求め、日中双方が対話を通じて問題を解決する方法を見いだしていくとしたことを受けて「日中の関係当局、あるいは専門家どうしの意見交換を通じて何とか着地点を見いだして水産物の禁輸を解除することが大事だ」と述べました。