「安全な地球 それが望み」世界が注目する島国の女性リーダー

先週始まった気候変動対策の国際会議COP28。そこでひときわ注目を集めている女性リーダーがいます。気候変動にさらされるカリブ海の島国バルバドスのモトリー首相です。

いま何を訴え、なぜ世界に注目されているのでしょうか。

発信力に注目集まる

バルバドスのミア・モトリー首相は、その発信力で注目されています。

ミア・モトリー首相
「いまの気候変動は死刑宣告に等しい。私たちがいま方向転換をして、気温の上昇を抑える政策をとらない限り、さらに多くの命が失われる」

カリブ海に浮かぶ人口28万人の島国バルバドスでは、気候変動によって海面が上昇し、年々海岸線が浸食されています。国の主要産業の観光業にも深刻な影響が広がっています。

日本のメディアとしては初めてNHKの取材に応じたモトリー首相は、気候変動の被害を受ける途上国は原因をつくった先進国の責任を追及する権利があると訴えました。

ミア・モトリー首相
「もはや気候変動とさえ呼べない。気候危機です。多くの途上国には気候変動の被害を抑える資源さえない。原因をつくった責任者がその費用の一部を負担すべきだ」。

「どう思うかではなく、必要なのは各国の行動だ」

ここ数年、気候変動対策を議論する国際会議で、モトリー首相は常に脚光を浴びてきました。

先進国が途上国を資金面で支援する新たな仕組みも提唱し、もはや一国の指導者にとどまらない、グローバルサウスの国々のリーダーとも見られています。

ミア・モトリー首相
「今こそ改革が必要だと思う。どう考えるかではなく、必要なのは各国の行動だ」

演説を聞いた外交官は「彼女のスピーチに本当に心を動かされた」と話していました。

「世界にはモノも資金も十分あるのに、その分配のされかたに問題があるのです。国家や国際機関は人々に希望を与えることができるはずです」

去年、アメリカのタイム誌の表紙を飾り、世界で最も影響力のある100人の1人に選ばれたモトリー首相。様々な危機が深まる世界で、小さな島国の指導者のリーダーシップに大きな期待が集まっています。

「あなたを次の国連事務総長にという声もありますが?」という記者の問いかけには「バルバドスのことだけで精いっぱいですよ」と答えていました。

ミア・モトリー首相
「利己主義や個人主義では一部が勝って多くが負ける。それではいけません。世界の多くの人々が生き生きと暮らせる安全な地球。それが望みです」