イスラエル首相「地上侵攻なしに目標達成不可能」継続を強調

イスラエルのネタニヤフ首相は「地上侵攻なしに目標を達成することは不可能だ」と述べ、ガザ地区で再開した軍事作戦を継続する必要性を強調しました。戦闘の休止を再び実現する道筋は見えず、ガザ地区の人道状況のさらなる悪化が懸念されます。

ガザ地区での軍事作戦を1日に再開したイスラエル軍は、残る人質の解放とイスラム組織ハマスの壊滅を目指すとして、全域で激しい攻撃を続けています。

2日夜から3日朝にかけては戦闘機やヘリコプターを使ってトンネルや指揮所、それに武器庫など、ハマスの拠点を空爆したほか、無人機でハマスの戦闘員5人を殺害したと発表しました。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、南部のハンユニスなど各地で激しい攻撃が行われたと伝えていて、ガザ地区の保健当局は、2日間で200人が死亡し、負傷者は600人近くに上ったとしています。

イスラエルのネタニヤフ首相は2日の記者会見で「戦闘休止の間にハマスに対する完全な勝利に向けた準備をしていた。すべての人質を取り戻し、ハマスを壊滅させるまでわれわれは全力で闘い続ける」と述べました。そのうえで「地上侵攻なしに目標を達成することは不可能だ」と述べ、ガザ地区で再開した軍事作戦を継続する必要性を強調しました。

一方、ハマスの軍事部門は2日夜、ガザ市北部でイスラエル軍の兵士を攻撃したほか、イスラエル最大の商業都市テルアビブなどに向けてロケット弾を多数発射したとしています。

また、ハマスの政治部門の幹部は2日、アルジャジーラのインタビューで、ガザ地区で「恒久的な停戦」が実現するまで残された人質の解放には応じない姿勢を強調しました。

イスラエル首相府はハマスとの仲介役を務めるカタールに派遣していた交渉団を引き上げたと明らかにしていて、交渉の先行きは極めて厳しくなっています。

こうした中、OCHA=国連人道問題調整事務所は2日、食料や水、それに医薬品などの人道支援物資や、13万8000リットルの燃料を積んだトラックがガザ地区に入ったとしています。

ただ再開された戦闘が検問所に近いガザ地区南部にも広がるなか、支援物資が安定的に搬入されるかは不透明で、人道状況のさらなる悪化が懸念されます。