“サッカーの天才”と呼ばれた44歳の小野選手は3日、札幌ドームで行われたコンサドーレのJ1最終戦、浦和レッズ戦に現役最後の試合として臨みました。
小野選手はフォワードの下のミッドフィルダーで先発出場し、前半4分に浮き球のパスを左足でワンタッチで前に流してチャンスを作ったほか、前半11分にもペナルティエリア近くの左サイドから右足でワンタッチのパスを送り、見せ場を作りました。
そして、前半18分にコンサドーレはフリーキックのチャンスを得て、小野選手が蹴りましたが、ゴールにはつながりませんでした。
小野伸二 現役最後は浦和戦 26年間のプロ生活締めくくる
サッカー元日本代表で、今シーズンで引退する北海道コンサドーレ札幌の小野伸二選手が、J1最終戦となった古巣の浦和レッズ戦に出場し、26年間のプロ生活を締めくくりました。
小野選手は前半22分に交代し、3万1000人余りの観客が入った札幌ドームは大きな拍手で包まれ、小野選手がベンチに下がる際には対戦相手のレッズの選手もピッチ上で一列に並んで花道を作りました。
試合はコンサドーレが0対2でレッズに敗れましたが、札幌ドームは終始、プロ生活26年目で引退を迎えた小野選手をねぎらうムードになりました。
試合後には引退セレモニーが行われ、小野選手は「きょうでプロサッカー選手の生活が終わりますが、僕自身はこれからも変わらず、サッカーを愛し、楽しんで、サッカーを続けていくので、これからもどうぞよろしくお願いします」と述べたうえで「自分の母が10月17日に旅立ちました。お母さんにひと言。僕を生んでくれて、このすばらしいサッカーに出会わせてくれて、ありがとうございました」と声を詰まらせながら述べました。
そして「これから第2の人生が待っていますが、少しずつ自分の道を進みながら日本のサッカーに携わっていけるようにやっていきます」と述べて、プロ生活を締めくくりました。
小野伸二「こんな幸せなことはない」
小野伸二選手は試合後に引退会見に臨み「満員の中でサッカーをできたことに感謝したい。たくさんのけがもありながら、この日を迎えられて、本当にこんな幸せなことはない」と心境を語りました。
44歳まで現役を続けて、サッカーへの情熱を示してきたことについては「自分らしくいられる時間だった。サッカーを通じて、たくさんの人に出会えて、人間として成長できた」とサッカーへの感謝を示しました。
プロ生活26年で、いつがピークだったかを聞かれると「高校生くらいが一番のピークだったと思っているので、当時、もっとSNSが発達していたらいいプレーをもっと皆さんに見てもらえたと思う」と笑顔で話しました。
また、天才と呼ばれた小野選手が影響を受けた選手を聞かれると、元フランス代表のジダン氏をあげて「対戦したときに、あの方にはかなわないと思った」と明かしました。
そして、今後について、小野選手は「ぼくのサッカー人生はこれで終わるわけではないのでこれから違う形でサッカーに携わっていきたい」と話していました。
“天才”小野伸二 オランダではUEFAカップ制覇にも貢献
小野伸二選手は、年代別の日本代表に10代から選ばれ続け、1999年には当時の世界ユース選手権に出場し日本の準優勝に貢献しました。
18歳でフル代表にも選ばれ、ワールドカップには1998年のフランス大会から3大会連続で出場しました。また、2002年には、所属していたオランダ1部リーグのフェイエノールトで、ヨーロッパのカップ戦、当時のUEFAカップにも出場しチームの優勝に貢献しました。
小野選手は国内では、想像力あふれるパスや華麗なテクニックで“天才”とも呼ばれ、サポーターの記憶に残るプレーを見せ続け、Jリーグ30周年を記念してことし実施されたサポーター投票によるベストイレブンにも選ばれていました。
小野選手は、J1で最年長の43歳で今シーズンを迎え、開幕前のことし1月の取材では、現役を続けられる理由について「サッカーが好きだという気持ちだ。そこが無ければここまで続けられていない」と話して、変わらないサッカーへの情熱が原動力であることを明かしていました。
