経産相“脱炭素社会へ新たな政府目標検討始めたい” 日曜討論

西村経済産業大臣はNHKの日曜討論で、国連の気候変動対策の会議「COP28」において、これまでの世界全体の対策の進捗が評価されることについて、会議の議論を踏まえ、脱炭素社会の実現に向けた新しい政府目標の検討を始めたいとする考えを示しました。

UAE=アラブ首長国連邦で行われているCOP28では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えるため、世界全体の対策の進捗を5年に1度、評価する仕組み「グローバル・ストックテイク」が初めて行われます。

日本は、2030年度までに温室効果ガスの排出量を、2013年度と比べて46%削減する目標を掲げていることについて、西村大臣は、「再生可能エネルギーの導入と原子力発電が車の両輪だ。日本発の技術であるフィルム型の『ペロブスカイト太陽電池』などの普及を急ぐほか、原発については安全性が確認されたものは、地域の理解を得ながら再稼働を進めたい」と述べました。

その上で「グローバル・ストックテイク」を踏まえ、来年から2035年度に向けた日本の新たな目標について、検討を始めたいとする考えを示しました。

また、石炭火力発電の段階的な削減については、「国民生活や経済への影響なども考えながら、二酸化炭素の排出を減らしていかないといけない。最終的には、燃料をアンモニアへと転換させることを目指したい」と述べました。

伊藤環境相 “世界で再生エネルギー3倍 日本は技術支援で貢献”

また、伊藤環境大臣はNHKの日曜討論で、気候変動対策を話し合う国連の会議COP28で、世界全体で再生可能エネルギーの発電容量を3倍に引き上げるとする誓約について、日本は発展途上国への技術支援などで貢献する考えを示しました。

COP28の首脳級会合では、2030年までに世界全体の再生可能エネルギーの発電容量を3倍に引き上げることに日本を含む110か国以上が誓約しました。

これについてNHKの日曜討論で日本の立場について問われた伊藤大臣は「太陽光発電の導入に伴う森林などの環境破壊の問題もあり、必ずしも3倍にできる容量があるとは考えていない。再生可能エネルギーは、なるべく伸ばそうと思っているが、あすや来年に3倍に増やすことはできない。ただ、世界で3倍にすることは必要で、発展途上国に技術供与するなどして進めたい。また、新たな再生可能エネルギーの技術開発も、あらゆる方法で進めたい」と述べました。

また、来週行われるCOP28の閣僚級会合に向けて「日本が持つ省エネ技術をいろいろな国に提供し、資金面でも協力したい。国境を越える環境問題で分断が起きないように、それぞれの国で立場や状況が違うが、日本が違いを縮める先導的な役割を果たしたい」と述べました。