イスラエル軍 ガザ全域攻撃 ハマス“停戦まで人質解放せず”

パレスチナのガザ地区で軍事作戦を再開したイスラエル軍は残る人質の解放とイスラム組織ハマスの壊滅を目指すとして全域で激しい攻撃を行っています。一方、ハマスの幹部は停戦が成立しないかぎり、人質の解放には応じない姿勢を強調していて、再び戦闘休止を実現するのは困難な状況です。

ガザ地区での軍事作戦を再開したイスラエル軍は2日、今月1日に戦闘を再開してから2日間で400以上の標的を攻撃したと明らかにしました。

ガザ地区の保健当局は、2日間で地区全体で200人が死亡し、負傷者は589人に上ったとしています。

イスラエルのネタニヤフ首相は2日の記者会見で「戦闘休止中にハマスに対する完全な勝利に向けた準備をしていた。すべての人質が戻り、ハマスを壊滅させるまでわれわれは全力で闘い続ける」と述べ、戦闘を続ける意義を改めて強調しました。

一方、イスラム組織ハマスの政治部門の幹部は2日、中東の衛星テレビ局アルジャジーラのインタビューでガザ地区で「恒久的な停戦」が実現するまで残る人質の解放には応じない姿勢を強調しました。

ハマス側はイスラエル側との間で現在、戦闘休止をめぐる交渉は行われていないとしています。

また、イスラエル首相府は2日、ハマスとの仲介役を務めるカタールに派遣していた交渉団を引き上げさせたと明らかにしていて、人質をめぐる双方の立場に隔たりがあるなか再び戦闘休止を実現するのは困難な状況です。

イスラエル軍は攻撃に先立って、ガザ地区全域を細かいエリアに分けた地図を作りそれをもとに攻撃対象地域の住民に対して別の地域に避難するよう通告しました。

ハンユニスの東側の住民には、さらに南のラファへ移動するよう通告するビラを上空からまきましたが、北部から避難してきたばかりの人も多い上移動先に指定されたラファでも攻撃による被害が出ていて、途方に暮れる住民の姿が見られます。

またイスラエル側が主導権を握ったとするガザ地区北部でも戦闘が続き、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、北部のジャバリアではイスラエル軍の空爆で100人が死亡したと伝えています。

ジャバリアでの作戦についてイスラエル軍は「学校の敷地内に深さ数十メートルのトンネルを発見し、テロリストを無力化した」と主張しています。

一方のハマスは、同じ北部のガザ市近郊でイスラエル軍の兵士を殺害したと主張しているほか、イスラエルに向かって断続的にロケット弾を発射しています。

また戦闘の再開後、ガザ地区への支援物資の搬入は滞っていましたが、パレスチナの赤新月社は2日、食料や水、それに医薬品などの人道支援物資を積んだトラック100台がエジプトとの境界にあるラファ検問所を通過し、物資を受け取ったと発表しました。ただ今後、燃料も含めた支援物資の搬入が順調に進むかは不透明で、戦闘の再開によって、ガザ地区の人道危機がさらに深刻化することが懸念されます。