津波注意報すべて解除 気象庁“多少の潮位変化続く可能性”

2日夜遅く、フィリピン付近を震源とする大地震があり、伊豆諸島の八丈島で40センチの津波を観測したほか九州から関東にかけての太平洋沿岸や奄美地方などにも津波が到達しました。

気象庁は太平洋沿岸などの広い範囲に発表していた津波注意報を午前9時にすべて解除しましたが、1日程度は多少の潮位の変化が続く可能性があるとして念のため海岸には近づかないよう呼びかけています。

気象庁は太平洋沿岸などの広い範囲に発表していた津波注意報を午前9時にすべて解除しましたが、1日程度は多少の潮位の変化が続く可能性があるとして念のため海岸には近づかないよう呼びかけています。

気象庁によりますと2日夜遅く、フィリピンのミンダナオ島付近を震源とするマグニチュード7.7の大きな地震がありました。

震源の深さについて気象庁は不明だとしています。この地震で気象庁は宮古島・八重山地方や鹿児島県の奄美群島・トカラ列島伊豆諸島、小笠原諸島、それに九州から千葉県にかけての太平洋沿岸に津波注意報を発表しました。

明け方になって各地で津波が観測され、奄美大島・小湊で午前3時12分に20センチを観測したあと、伊豆諸島の八丈島・八重根で午前4時27分に最も高い40センチの津波を観測しました。

また、鹿児島県や高知県、徳島県、和歌山県、三重県、静岡県、愛知県、千葉県、小笠原諸島などで数センチから20センチ程度の津波を観測しました。

その後潮位の変化が小さくなったことから、気象庁は午前7時に宮古島・八重山地方の津波注意報を解除し、午前9時にはそのほかの地域に出していた津波注意報をすべて解除しました。

気象庁はこのあとも1日程度は多少の潮位の変化が続く可能性があるとして、念のため海岸には近づかないよう呼びかけています。

“津波観測”で注意報を追加発表 気象庁「予測に誤差」

今回、気象庁は津波注意報を宮古島・八重山地方から千葉県にかけての太平洋沿岸に発表しましたが、当初、鹿児島県の奄美群島・トカラ列島は含まれていませんでした。

奄美群島・トカラ列島では、津波注意報の基準となる20センチ以上の津波は予想されず、多少の潮位の変化にとどまるとみられていましたが、午前3時すぎに奄美大島・小湊で20センチの津波を観測したためその7分後に津波注意報が追加で発表されました。

これについて気象庁は、発表のしくみが関係しているとしています。

津波注意報は、地震が起きてから計算すると時間がかかってしまうため、気象庁はあらかじめ用意したデータベースの中から、発生した地震の位置や規模などに対応する予測結果を検索し発表しているということです。

このため、1メートル以下の津波の予測では数センチの誤差が生じるということで、気象庁は最新の情報を確認するよう呼びかけています。

専門家「津波が重なり高くなったか」

フィリピン付近で起きた地震で、現地と同じ程度の高さの津波が日本でも観測されたことについて専門家は、四方に広がった津波が日本に到達するまでに重なって高くなった可能性があると指摘しています。

2日夜遅く、フィリピン付近を震源とするマグニチュード7.7の大地震があり、現地の地震観測機関によりますと、これまでに64センチの津波が観測されました。

津波のメカニズムに詳しい東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授によりますと、震源付近ではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいて、2つのプレートの境界では過去にもマグニチュード7以上の地震が発生するなど地震活動が活発だということです。

また、今回の地震で日本の太平洋沿岸にも津波が到達し、伊豆諸島の八丈島では40センチの津波が観測されました。

これについて今村教授は、震源から直接伝わる津波のほかに、フィリピンや台湾、沖縄などの沿岸部に沿って伝わった津波が重なり、高くなったと考えられると指摘しています。

そのうえで「遠地地震の場合は、第1波や第2波よりもあとの津波のほうが高くなることがあるのも特徴で、自分で判断せずに気象庁などが発表する情報をもとに注意を継続する期間などを決めることが重要だ」としています。

10:20 東京湾フェリー 運航再開

津波注意報の解除を受け、始発から運航を見合わせていた千葉県富津市の金谷港と神奈川県横須賀市の久里浜港を結ぶ東京湾フェリーは、午前10時20分の便から運航を再開しました。

フィリピンでは最大64センチの津波観測 その後も地震

この地震でフィリピンの地震観測機関「火山地震研究所」は、ミンダナオ島の一部の地域で津波が発生するおそれがあるとして一時、海岸近くの住民に対し、高台など安全な場所に避難するよう呼びかけました。

研究所によりますと、これまでにいずれもミンダナオ島の▽南スリガオ州の離島で64センチ、南スリガオ州のビスリグで18センチ、東ダバオ州のマティで8センチの津波を観測したということです。

震源に近い南スリガオ州の警察によりますと、現地では地震直後から停電が続いていて、多くの住民が公共施設などに避難しているということです。

一方、フィリピン当局によりますと、これまでのところけが人や大きな被害の情報は入っていないということです。また、ミンダナオ島にある日本総領事館も日本人の被害の情報は入っていないとしています。

現地では、その後もマグニチュード5から6程度の地震が続いているということで地元当局は被害の状況について確認を急いでいます。

太平洋沿岸各地で津波観測 40cm~数cm

各地で観測された津波の到達時刻と高さ

気象庁によりますと、午前8時59分現在、各地で観測された津波の到達時刻と高さは以下のとおりです。

▽伊豆諸島の八丈島・八重根で午前4時27分に40センチ、
▽八丈島・神湊で午前4時19分に20センチ、
▽伊豆諸島・神津島で午前6時29分に20センチ、
▽千葉県館山市で午前6時10分に20センチ、
▽和歌山県御坊市で午前4時15分に20センチ、
▽和歌山県串本町で午前5時52分に20センチ、
▽高知県土佐清水市で午前3時54分に20センチ、
▽鹿児島県南大隅町で午前7時22分に20センチ、
▽奄美大島・小湊で午前3時12分に20センチとなっています。

また、
▽伊豆諸島の三宅島・阿古で午前4時58分に10センチ、
▽小笠原諸島・父島で午前5時11分に10センチ、
▽静岡県西伊豆町で午前6時15分に10センチ、
▽静岡県焼津市で午前7時17分に10センチ、
▽静岡県沼津市で午前8時21分に10センチ、
▽愛知県田原市で午前6時46分に10センチ、
▽和歌山県那智勝浦町で午前6時23分に10センチ、
▽高知県室戸市で午前3時50分に10センチ、
▽高知県中土佐町で午前5時29分に10センチ、
▽徳島県美波町で午前5時35分に10センチとなっています。

このほか、
▽静岡県御前崎港で午前7時24分に、
▽三重県尾鷲港で午前4時39分に、
▽三重県熊野市で午前7時9分に、いずれも数センチ程度の津波を観測しました。

場所によっては観測された高さより、さらに大きな津波が到達している可能性があります。

気象庁はこのあとも1日程度は多少の潮位の変化が続く可能性があるため、念のため海岸には近づかないよう呼びかけています。

=地震発生直後の状況は=

フィリピンでM7.7の大きな地震

気象庁によりますと日本時間の2日午後11時37分ごろ、フィリピンのミンダナオ島付近を震源とするマグニチュード7.7の大きな地震がありました。

震源の深さについて気象庁は不明だとしています。

フィリピン沿岸で最大3メートルの津波のおそれ

日本時間の2日夜起きたフィリピンのミンダナオ島付近を震源とする地震で、NOAA=アメリカ海洋大気局は▼フィリピンの沿岸では、1メートルから3メートル程度の津波が、また▼パラオの沿岸では30センチから1メートル程度の津波が、それぞれ発生するおそれがあるとして注意を呼びかけています。

専門家「日本では揺れを感じていないが 油断しないで注意を」

津波注意報について、東京大学の平田直 名誉教授は「震源となったフィリピンのミンダナオ島付近はふだんから地震の多いところだ。津波は30センチの高さでも大人も動けなくなる。夜の暗い時間帯なので、海の様子を見に行くのは大変危険だ。海岸付近から離れてほしい」と述べました。

そのうえで「海外の離れた場所で起きた地震による津波注意報なので日本では揺れを感じていないが、油断しないで欲しい。今後、津波が観測されるおそれがあるが、後から来る津波の方が高くなることもあるため注意を続けて欲しい」と話していました。

ミンダナオ島 ダバオの日本総領事館「日本人の被害情報なし」

ダバオにある日本総領事館によりますと、日本時間の3日午前1時前の時点では、日本人の被害の情報は入っていないということで、情報収集を続けているとしています。

2日 23:56

23:56 総理大臣官邸に情報連絡室設置

津波注意報が出されたことを受けて、政府は、午後11時56分に総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、関係府省庁や地方自治体などと連絡を取るなどして各地の状況について情報収集を進め、警戒にあたっています。

気象庁 3日2:00から会見へ

2日夜フィリピン付近で起きた地震や津波注意報について、気象庁は午前2時から会見を開き、注意点や地震のメカニズムなどについて説明することにしています。

0:00 浜岡原子力発電所 監視強化

中部電力によりますと津波注意報が発表された静岡県御前崎市の沿岸にある浜岡原子力発電所は午前0時現在、津波の到達に備えて、潮位の変化を警戒するなど監視を強化しているということです。

0:00 鹿児島 現時点で被害情報なし

鹿児島県によりますと、県内東部に出されている津波注意報について、現時点で被害の情報は入っていないということですが、引き続き情報収集を進めています。

0:00 東京 利島村 役場が巡回

東京 利島村によりますと、津波注意報が発表されたことを受けて役場の職員が海沿いに人がいないか桟橋などを巡回しているということです。

フィリピン当局も津波の警戒呼びかけ

今回の地震で、フィリピン当局は、ミンダナオ島の一部の地域で津波が発生するおそれがあるとして警戒を呼びかけています。最初の津波は、地震の発生から1時間あまりの間に到達し、その後、数時間にわたって津波が続く可能性があるとして、付近の住民に対し、高台などに避難するよう呼びかけています。

台湾の中央気象署 津波警報出して海沿いの住民に警戒呼びかけ

台湾の中央気象署は、3日未明、津波警報を出し海岸沿いの住民に警戒を呼びかけています。予想される潮位の変化は30センチより低いとしています。

津波注意報は10月9日以来

気象庁によりますと、津波注意報が発表されたのは10月9日に発生した東京・伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震で発表されて以来です。

過去にフィリピン沖の地震で日本で津波観測も

気象庁によりますと、フィリピンの近海で起きたマグニチュード7クラスの地震では過去にも津波注意報が発表され、日本の沿岸で津波が観測されています。

2012年8月にフィリピンの東の沖合を震源とするマグニチュード7.6の地震では沖縄・奄美から東北の太平洋側に津波注意報が出され、解除されたあとに伊豆諸島の八丈島で50センチの津波を観測しました。

大きな地震のあとは地形などの影響で局地的に高い津波が来るおそれもあるため、注意を続けて下さい。