【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12月2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア軍 兵士17万人増員へ

ロシア大統領府は1日、ロシア軍の兵士を17万人増やし、132万人規模とする大統領令にプーチン大統領が署名したと発表しました。

国防省は声明で「国民の動員は計画していない。特別軍事作戦を続けるためと、NATO=北大西洋条約機構の拡大で脅威が増していることへの対応だ」としています。

ロシア軍はドネツク州の複数の前線で攻勢を強める一方、多くのロシア兵の犠牲が指摘されています。プーチン政権としては、ロシア社会に大きな混乱をもたらしかねない国民の動員を避けながらも、長期戦を見据えて兵力を増強するねらいとみられます。

ロシア軍 ドネツク州マリインカを掌握か

ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州などで攻勢を強めていて、複数のロシア側の軍事ブロガーは1日、激戦となっていたドネツク州マリインカを、ロシア軍が掌握したと伝えました。

マリインカは州都ドネツクの南西にある拠点の1つで、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「確認できるだけでロシア軍が74%以上を支配しているが、ロシア側の主張のようにさらに掌握している可能性もある」としています。

サハリンに暮らす残留邦人ら 日露の関係悪化を懸念

戦前、日本が統治していた樺太、今のサハリンには、戦後の混乱の中、さまざまな理由で帰国できずに現地に残った日本人、いわゆる残留邦人やその家族が暮らしていて、こうした人々でつくる「サハリン日本人会」の総会が2日、中心都市ユジノサハリンスクで開かれました。

この中で、加藤晃枝会長が、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で日本への直行便の運休が続く中、ことし一時帰国した人たちが日本に向かうにあたって首都モスクワと中東を経由しなければならなかったと説明しました。

そして、ウクライナヘの軍事侵攻以降、制裁を科す日本とそれに反発するロシアとの関係が悪化していることについて参加者からは懸念する声が聞かれました。

国連 キーウ郊外で防寒物資の配布

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、本格的な冬を迎えて冷え込みが厳しくなっていて、国連が、自宅を失い避難を続ける人などに、防寒のための物資の配布を進めています。

ウクライナでは、首都キーウでも雪が降るなど冷え込みが厳しくなり、本格的な冬を迎えています。ロシア軍の攻撃を受けて、自宅を破壊され仮設住宅などに住む人も多く、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所が、防寒のための物資の配布を進めています。

このうちキーウ郊外の村の集会所では1日、住宅の隙間風を防ぐための断熱用の資材などが入った袋、600セットが配られました。受け取った人たちは早速、仮設住宅に戻り、窓枠に断熱用の資材をテープで貼り付けていました。

UNHCRはウクライナ全土で冬の間におよそ90万人に対して、防寒用の資材や服、燃料費の配布などを進めるとしています。

ロシア軍の攻撃で自宅が全壊し、仮設住宅に家族と暮らす60歳の女性は「冬は大変ですが、耐えなければなりません。支援のおかげで暖かく過ごせることも、私たちが大変な状況にあることを人々が忘れないでいてくれるのもとてもありがたい」と話していました。

また、UNHCRウクライナ事務所のエリザベス・ハスランド報道官は「停電やインフラへの攻撃のおそれもあり支援は重要だ。世界では他の危機も起きているがウクライナのことも忘れずに支援を続ける必要がある」と話していました。

ボリショイ劇場総支配人にゲルギエフ氏 前任に圧力か

ロシア政府は1日、モスクワのボリショイ劇場の総支配人に世界的な指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏を任命したと発表しました。ゲルギエフ氏は、ロシアのサンクトペテルブルクの名門、マリインスキー劇場のトップを務め、プーチン大統領の長年の友人としても知られています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に反対の立場を示さず、欧米の主要なオーケストラから指揮者を解任され、音楽アカデミーからも除名されるなど、欧米での音楽活動は大きく制限されています。ゲルギエフ氏はボリショイ劇場の総支配人に就任することについて「責任は重大だ。ロシアで何ができるか考えていく」と述べました。

一方、ロシア政府はこれまでボリショイ劇場の総支配人を務めてきたウリン氏について「みずからの希望で職が解かれた」としています。ただ、ウリン氏は、去年2月のウクライナへの軍事侵攻直後、他の芸術家などと共同で軍事侵攻の停止を訴える書簡に署名したことから政権側からの圧力にさらされていたという見方もでています。

ロシア ショイグ国防相 “あらゆる方面で掌握地域を拡大”

ロシアのショイグ国防相は1日、国防省で開いた軍司令官との会議でウクライナ軍は6月以降の反転攻勢で、12万5千人以上の兵士を失い、失敗したと主張しました。

そのうえで「ロシア軍の兵士は巧みかつ果敢に行動し、あらゆる方面で掌握地域を拡大している」と述べ、攻勢を強めていると強調しました。

ゼレンスキー大統領 “反転攻勢 望んだ結果得られず”

ウクライナのゼレンスキー大統領は11月30日の国民に向けた動画の演説で、ロシア軍の攻撃に対し、防衛線を強化するため要塞の建設を進める考えを示しました。

具体的にはロシア軍が攻勢を強める東部のドネツク州のアウディーイウカやハルキウ州のクピヤンシクの前線などをあげ「主要な全方面で建設を急ぐ必要がある」と訴えました。

またゼレンスキー大統領はAP通信のインタビューの中でウクライナ軍の反転攻勢について「早く結果を出したかったが残念ながら、望んだ結果が得られなかったことは事実だ」と述べました。

そして、「戦争の新たな局面を迎えている」と述べ、本格的な冬を迎え、ロシア軍が無人機などによる大規模な攻撃を繰り返しているとして警戒を強めています。