国立大学法人法改正案 廃案求め4万人余の署名提出「自治侵害」

大規模な国立大学法人に「運営方針会議」の設置を義務づけることなどを盛り込んだ国立大学法人法の改正案の審議が参議院で始まり、会議の委員を文部科学大臣が承認することなどは、大学の自治を侵害しているとして、廃案を求める4万人余りの署名が文部科学省に提出されました。

12月1日から参議院本会議で審議が始まった国立大学法人法の改正案は、大規模な国立大学法人に学長と3人以上の委員でつくる「運営方針会議」の設置を義務づけたうえで、中期計画や予算・決算を決定する権限を与えることなどが盛り込まれています。

改正案で、会議の委員は文部科学大臣の承認が必要となっていることなどに、有志の大学教授ら10人が大学の自治を侵害しているとして署名活動を行い、1日、廃案を求めるおよそ4万3000人分の署名を文部科学省の担当者に提出しました。

有志の1人、お茶の水女子大学の米田俊彦 教授は「承認されなければと国へのそんたくが生じかねない。大学の自治はひん死の状態で、改正案の廃案とともに、大学で学び研究する権利の保障への転換を求めたい」と話していました。

一方、文部科学省は「委員の承認の申し出は明らかに不適切などと認められる場合を除き拒否できず、大学の自治に反するという指摘はあたらないと考えるが、丁寧な説明を尽くしたい」としています。

改正案をめぐっては「国立大学協会」が11月に強い危惧を示す会長声明を発表し、会議を設置する国立大学法人の自主性・自律性を尊重することなどを求めています。