ジャニーズ性加害問題 「SMILE-UP.」が23人に補償金支払い

ジャニー喜多川氏による性加害問題で、ジャニーズ事務所から社名を変更した「SMILE-UP.」は、被害を申告した23人に、30日までに補償金を支払ったとして、補償を開始したことを明らかにしました。

ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、「SMILE-UP.」=旧ジャニーズ事務所は、補償に向けて設置した「被害者救済委員会」が事実確認などを終えた35人に、補償金額を提示したことを明らかにしています。

会社側がその後の状況を公表し、11月30日までに30人から補償内容に同意すると連絡を受け、このうち23人に補償金の支払いを終えたと明らかにしました。

残る5人については「補償内容について検討いただいている」とした一方、12月1日までに救済委員会から新たに23人に補償金額の提示が行われたとしています。

補償の内容については明らかにされていませんが、会社は11月20日の時点で834人から被害の申し出があったとしていて、今後も順次、連絡されるとしています。

現時点で旧ジャニーズ事務所の在籍確認がされていない人については、会社側から追加の資料提出やヒアリングを依頼して個別に対応していくとしています。

あわせて「被害者救済委員会」は、補償金額の算定に関する考え方を公表し、この中では被害者が生育途中の少年で、性的搾取の状態に置かれていた人もいたなど、ジャニー喜多川氏の性加害の特徴や特殊性、海外での事例も踏まえ算定したとしました。

会社は「おわびと被害救済には長い道のりが待ち構える中、定期的に補償や再発防止策の進捗(しんちょく)状況を報告していく」としています。

被害訴える橋田康さん “示された補償案に合意意向”

被害を訴えている元所属タレントの橋田康さんは「SMILE-UP.」=旧ジャニーズ事務所から示された補償案について合意の意向を伝えたとしています。

橋田さんは、会社が設置した「被害者救済委員会」が35人に補償金額の提示を始めた11月22日に補償案を提示され、後日、合意の意向を伝えたということです。

支払いはまだだということで、補償金額は明らかにできないとしたうえで「金額の面で戦わないという姿勢で話しており、そこにこだわりはなかったが、ヒアリングの時に一般的な被害者補償の水準より高く考えないといけないのではと伝えており、提示された内容を見るとそのことを考慮し、しっかり考えてくれたのではないかと思った」と心境を明かしました。

そのうえで「告白してから本当にきつかったが、なかなか動かない大きな山が動いたと実感しているので、一人一人にまっすぐ向かい合ってくれたらと思う。まだ補償救済の序盤であり、今は丁寧に慎重にやっているがどこで何が変わるのかわからないので、今後も注視し続けながら、本当の救済につながっていくのか考え、発信したい」と話していました。

一方、被害を申し出た人は、11月20日の時点で834人に上っていることに「本当に被害に遭った方がすごく待たされてしまう状況は避けなくてはいけないと思う。補償の進捗状況がどうなっているのか会社側が可視化していくことが重要だ」と話していました。

被害者救済委員会「補償金額算定に関する考え方」

被害の申告の受け付けや、ヒアリングを行い補償内容を検討している「被害者救済委員会」が公表した「補償金額算定に関する考え方」の内容です。

この中では、被害者たちへの聞き取り内容からジャニー喜多川氏による性加害の特徴や特殊性を6つの項目で説明しています。

具体的には
▽被害者が生育途上にある少年たちであること
▽性的経験がなく人生における初めての性的経験がジャニー喜多川氏による加害行為であった人が大半を占めていること。

▽芸能界での活躍や飛躍、芸能活動の継続のためにやむなく受け入れていたこと
▽数年にわたって関係を強いられ、いわば『性的搾取』という状態に置かれていた人も少なくなかったこと。

そして、
▽ジャニー喜多川氏による性加害は少年らの間で共通認識が形成されていたにもかかわらず、事務所の関係者に助けを求められない状況で
▽被害者らのその後の生活に程度の違いはあるものの深刻な影響を及ぼしているとみられることを挙げています。

救済委員会は、長い人生でその影響のすべてがジャニー喜多川氏の加害行為に帰せられるものではないとしつつも「被害者救済の観点から厳密な立証を求めず、『法を超えた』賠償をする観点からも、少なからずその影響があるものとして慰謝料算定するものと考えた」としています。

こうした特徴や特殊性を踏まえ、救済委員会は
▽加害行為の状況や期間、頻度、被害に遭ったときの年齢などを考慮した「被害の程度や凄惨(せいさん)さ」に加え
▽その後の生活や人生におよぼした後遺障害などの影響についても算定したとし、イギリスの公共放送BBCのキャスターの性加害事案など海外での事例も参照して、補償金額を算定したとしています。