柿沢前法務副大臣 区長選“買収意図ない” 後援会関係者に文書

ことし4月に行われた東京 江東区の区長選挙をめぐる公職選挙法違反の疑いで地元事務所が東京地検特捜部の捜索を受けた柿沢未途前法務副大臣が、後援会の関係者に「買収の意図はなかった」などとする文書を送っていたことがわかりました。

自民党の柿沢未途衆議院議員(52)は、ことし4月の江東区長選挙をめぐり、支援していた木村弥生前区長に有料広告の利用を勧めた責任をとりたいとして、ことし10月末に法務副大臣を辞任し、11月には、江東区の地元事務所や秘書の自宅などがみずからによる公職選挙法違反の買収の疑いで東京地検特捜部の捜索を受けました。

柿沢議員は、一連の疑惑に対するコメントなどを発表していませんが、後援会の関係者に自身の見解を示す文書を送っていたことがわかりました。

この中で柿沢議員は、問題となった有料広告について「『動画配信が有効であるようだ』という話はしたものの、動画の作成自体には私は関わっておりません。出来上がった動画についてもそれが違法性のあるものだとの認識はありませんでした」としています。

さらに、区長選挙の前に自民党の区議会議員5人に現金20万円を渡し、このうち2人からはほどなく返還を受けたとしたうえで「区議会議員選挙の陣中見舞いとして領収書もいただいており、買収の意図はなかったことは明らかだと思います。自民党支持者の中での支持基盤を強化するためのいわゆる地盤培養行為として行ったものです」と説明しています。

柿沢議員 2つの疑惑への主張は

問題となった有料広告について

問題となった有料広告は、木村前区長の姿や「木村やよいに投票してください」という文字を組み合わせた6秒の動画です。

関係者によりますと、撮影が行われたのは柿沢議員側が手配した議員会館の会議室で、前区長は特捜部の任意の事情聴取に対し「地元選出の柿沢議員から、別の選挙で効果があったとして有料広告を勧められた」などと説明しているということです。

これについて柿沢議員は、後援会の関係者に送った文書に「『動画配信が有効であるようだ』という話をしたものの、動画の作成自体に私は関わっておりません。出来上がった動画についても、それが違法性のあるものだとの認識はありませんでした。結果として当時、違法性のある動画の配信を見過ごす形となったことについては、大変、深く反省しております」とつづっています。

買収の疑いについて

柿沢議員は、保守分裂の構図となった区長選挙で、自民党推薦の候補ではなく木村前区長を支援し、選挙前、陣営を取り仕切るなどしていた複数の柿沢議員の秘書が、少なくとも十数人の区議会議員に現金を渡そうとして、このうち一部が1万円から20万円を受け取っていたことがわかっています。

これについて柿沢議員は、文書の中で「区議3名に対して各20万円を柿沢事務所側からお渡ししたことは間違いありません。他の区議2名には、各20万円をいったんお渡ししましたが、ほどなく返還を受けました。区議会議員選挙を前にして、自民党公認候補として立候補予定の方々に対する『陣中見舞』として行ったものです」と述べています。

さらに、最近無所属から自民党に転じた地元国会議員として認知され受け入れられるには、自民党の区議会議員との関係形成が課題だとかねてから認識していたとしたうえで「柿沢事務所の秘書を通じて各区議に接触し、『地元の自民党国会議員として、陣中見舞をお渡ししたい。区議選でも求めがあれば応援に入りますので、必要ならばご要請ください』とお伝えしました。陣中見舞として領収書も頂いており、その点からも買収の意図はなかったことは明らかだと思います」と主張しています。

そのうえで「次期解散総選挙で初めて自民党公認で臨むに当たって、地元における自民党支持者の中での支持基盤を強化するための、いわゆる地盤培養行為として行ったものです。ようやく自民党入りを果たした私が、自民党推薦の区長候補の対立候補を当選させるための投票のとりまとめを依頼する趣旨で自民党区議に現金を交付するというあからさまな反党行為をするはずがありません。国会議員が地方議員に対する『陣中見舞』を行う際に手ぶらでいくことはむしろ常識に反しますし、20万円という金額は国会議員として常識的な範囲の額だと認識しております」と説明しています。

今後の活動について

柿沢議員は、文書の最後に「これまで同様、自民党所属の地元国会議員として果たしうる限りの責任を全うしたいと考えております」などと、今後の活動への思いをつづっています。